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人生初、ウクライナについて考え続けた数ヶ月

2022年2月24日のロシアによるウクライナ侵攻以来、私が今までの人生で名前しか知らなかった「ウクライナ」という国がこんなにも身近に意味を持った存在になるとは思わなかった…というくらい、この2ヶ月強、音楽分野を中心にあまり知らなかった事をたくさんお勉強させて頂いてます。しかもいよいよ、身近にもウクライナから避難されて来た方が、知り合いのところで働き始めることになりました。英語も日本語もできない方ですが、少しでもサポートする事ができるようにと思っております。

それにしても、各種資料を調べていくと、大変に多くの方々が長きに亘って研究を重ねたり、日本とウクライナの文化交流などに尽力されているという事を知って、自分と接点がなかっただけでこんなにも豊かな世界があるのだと感心したものです。それは、私が初めてスロベニア文化に触れた時と似た驚きで、私が生まれる遥かに前から存在していたものが忽然と眼前にその姿を現したけれどあまりにも巨大で、全貌やディテールはまだこれから掘り進めて調査するという段階です。そして、そういう「まだ出会っていない素晴らしい世界」は無数にあるのだろうと思うと、人生はなんと短いものかと思いました。

そして、以前にも「ウクライナ」についてはニアミスしているはずなのに、ご多分にもれず「ロシア」の陰に隠れて独立した国家、そしてそこには独自の言語や文化があるという認識が不足していたという自らの不甲斐なさへの反省も浮き彫りになりました。

2月24日以降、ウクライナ関連の主な活動(順不同)

ウクライナへの連帯を表明する文言をnoteを始めSNSに明記する

今、開戦当初に書いた文章を読み返してみると殊更中立の立場を取っている事が見て取れますが、事此処に至っては最早両国の問題だけでは無くなっている上、ロシアの政権・政策を支持するはずはもちろん無く、日本におけるロシア人、ロシア文化の排斥には反対の立場を表明していますが、長期化の上、拡大し、泥沼化して来た戦況の一刻も早い終結とウクライナ国民の皆さんに平和が訪れる事を願って止みません。

https://note.com/anzeanzaihajime/n/n844de64dce2d

ウクライナへの連帯を表明する音楽をYouTubeにアップする

この活動を思い立って困ったのが、具体的に何を弾くかという事でした。私の乏しい知識のために、万が一にもロシアの曲を混在させる事があってはいけません。けれども隣接していて歴史的にも関係が深い両国には素人の外国人(ワタシのこと)がうっかり踏んでしまいそうな「罠」がたくさんありました。特にアコーディオンソロなので無理なく弾ける曲を探すとコサック民謡が多く候補に上がりました。が、しかし!この「コサック」がこれまた曲者でした(紙面の都合で割愛)。そこで、「ロシアのコサック」の曲なのか「ウクライナのコサック」の曲なのか、歌わないにせよ元の歌詞についても知識が豊富なゔぇーだー(荒川コサック)さんに数多くのアドバイスを頂きながら選曲に役立てました。記して感謝に代えます。どうもありがとうございます!

ゔぇーだー(荒川コサック)さんのツイッター→https://twitter.com/vaida_miri

今のところ十数本上げていますが、ウクライナの曲をアップする度にチャンネル登録者が減っていくのが今のところ悩みですが、私なりの反戦運動なのでこれからも地道にお勉強続けてアップロードしていく積りです(読者諸兄で主旨にご賛同くださる方があるなら、どうぞチャンネル登録をよろしくお願いします)

ウクライナへの理解を深めるために資料を集めそれを読み進める

主に歴史関係など手に入るものを色々と集めてみましたが、此処では二冊をご紹介します。

「ウクライナを知るための65章」(服部倫卓・原田義也編著、明石書店)
「○○を知るための」でお馴染みのエリアスタディーズ169。私の本棚にも「スロヴェニア 」編や「ハンガリー」編なども並んでいて真っ先に手にとった定番の一冊でした。奥付は2018年12月31日の初版第2刷とあります。ですから、その時点での視点で懸案である「ウクライナとクリミア」(第51章)や「ウクライナとNATO」(第62章)、「ウクライナの対ロシア関係」(第63章)などについての記事を読むと色々と「今に始まった訳ではない」事が今更ながら浮き彫りになって色々と考えさせられます。

一線で活躍されてる研究者の皆さんが専門分野を執筆しています

ニッチジャーニーVol.1「ウクライナ・ファンブック」(平野高志、合同会社パブリブ、2022年4月1日初版第3刷発行)

カメラマンとしても活動している著者(キーウ在住)の撮った美しい写真満載のオールカラーハンドブック。カバーしている範囲も歴史、地理、文化(料理・音楽・語学・スポーツなど)と幅広く、それぞれのページから溢れる情報量と熱量に圧倒される良書。これはもう一家に一冊レベル。正に著者の「愛」が溢れ出るまごう事なき唯一無二の「ファンブック」だと思われる。今こそ読みたい、超オススメでご機嫌な本です。この本を読んでから「絶対ウクライナへ行こう!」と決めました。

ページをめくるほどにウクライナに行きたくなる本

ウクライナ語の学習を開始する

YouTubeにウクライナの曲をアップしている私ですが、知れば知るほどウクライナ人は「歌う人々」だという実感が湧きます。事実ユネスコが採録した民謡の数は1万5500曲ほどあるそうで、単一民族の民謡の数としては世界有数だそうです(ウクライナ・ファンブックP116より)シェルターの中で歌う人々がニュースで流れたのをご覧になった方もあるでしょう。そこで一念発起、苦手意識のあるキリル文字にも取り組んでウクライナ語に触れる事にしました。歌詞を読めるようになりたいし、国民詩人タラス・シェフチェンコ(宇・シェウチェンコ)の詩も原語で読んでみたいからです。

ウクライナ語の学習については、色々なご意見があるようで「ロシア語を先にやった方が良い」というアドバイスも読みましたが、細々と続けているスロヴェニア語に続き、ロシア語に手を出してからようやくウクライナ語に取り組むのではちょっと遠いので、迷わずウクライナ語に突入しました。手始めに比較的どこでも入手できるニューエクスプレスプラス「ウクライナ語」(中澤英彦著)を頭からやっています。過去にも色々な外国語に取り組んで来た経験から自分なりの手順があるのですが、新しい文字組織を覚える時にはそれを先に徹底的にやります。それさえクリアすれば辞書が引けたり、発音の再現がより正確になったり、その後の学習がグンと捗ります。幸いにもスロヴェニア語から応用できる事がゼロではなかったので「なるほど、これがスラヴ語を学ぶということか!」と感動しつつ、でもあくまで違う言葉として新鮮な気持ちで取り組んでいます。お勧めのテキストや勉強法などの情報募集中です。

慣れないキリル文字に四苦八苦。まるで子供の書いた字のように辿々しい筆跡

義援金の寄付をする、ウクライナから買い物をする

開戦当初すぐに、ウクライナ大使館への募金に協力させて頂きました。その後、何かできることは無いかと考えておりましたが、ふと「ウクライナのアコーディオン屋さんはどうしているだろう?戦時下で楽器が売れるはずも無いし、困っているに違いない」と思い至りました。キリル文字が打てないし、第一ウクライナ語もできないのでともかく英語で色々と検索をかけたところ、英語ページがある楽器屋さんを発見しました。バンドゥーラなどの民族楽器と新品中古アコーディオンを扱うお店です。「こんな時にご迷惑かも…」と思いつつ「平和な世の中が来たら楽器を注文するから無事でいてください!」と励ましのメッセージを送ったところ、なんと翌日「お陰様で無事です。楽器の倉庫も攻撃されていないから在庫も大丈夫。国際郵便はポーランド経由で発送可能だから、いつでも注文してください!」との返事が。私はてっきり郵便が停まっていると思っていたので、すぐに商品ページから心ばかり寄付金の申し込みと、中古楽器を一台注文しました(4月5日注文。4月12日に発送したとメールあり。5月2日現在未着)運送の混乱で仮にロストしたとしてもウクライナのアコーディオン屋さんに少しでも売り上げが出ればそれで満足です。もし届いたら、自分の生徒やアコーディオン関係の知り合いの中で興味を持ってもらえる人たちにも協力をお願いしてみようと思っています。

見た目可愛いウクライナ製のヴィンテージ楽器を注文。無事に届きますように!

それから、5月の第3木曜日は美しい刺繍が施された民族衣装「ヴィシヴァンカ」の日だそうです。そこで、アコーディオンと同じく「ウクライナのお店から通販で買えないかな?」と思って色々と調べてみました。自分で決めたルールは「直接ウクライナのお店から買う」ということだけ。各種通販サイトに色とりどりの商品が陳列されていますが、経営はカナダやアメリカなどの第3国経由も多いですし、場合によってはロシアにあるお店だったりする訳です。なので本来「買って応援」の主旨を貫くためにはウクライナのお店である必要がある訳です。あれこれ調べて、デザインと値段のバランスが好みで英語対応があって、しかも「営業している」お店を探すのがなかなかの骨折りでした。色々探して、最終的にとあるお店の問い合わせフォームからメールをすると素早いレスポンスが来ました。「心配してくれてどうもありがとう。実はいつまでもこのままではどうにも仕方がないから、ちょうど明日から通常業務を目指して発送も再開しようと思っていたんだよ。通販ページから注文してくれたら対応します」とのことだったので、気に入ったものを注文しました。無事に届いて、サイズがOKだったら追加注文を出そうと思っています。ちゃんと届いたら、また別の記事でリンク先をご紹介しようと思っています。

定番の赤系も心惹かれましたが、夏らしい色合いのを注文しました

最後に

さて、私の自己満足と言われても仕方がないレベルの小さな小さなウクライナ理解への取り組みと支援のお話しをして来ました。今の日本を見ていると無関心な方がとても多いように思います。ロシアと国境を接しているにも拘らず「日本は島国で良かったね〜」と言っている人を実際に聞いたこともありました。私が直接知り合っている人には、どのような考えでも良いので何かしらの興味関心を持ってもらえたらと思うことが増えたので、目に触れる形にまとめています。こんな時に自分にもっと知名度があったり、発信力があればと思わないでもありませんが、できることを地道に重ねて行くほか道はないのかなと思って一歩ずつ歩いております。

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1日も早い停戦と世界中の人々の健康と幸せと豊かさをお祈りします。

アコーディオン安西はぢめ

いつも温かいサポートをどうもありがとうございます。お陰様で音楽活動を続けられます!