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〈エスター(Orphan)〉感情が忙しい。

ホラー映画、エスター(原題:Orphan)を観ました。

〈作品概要〉
   作品名:エスター(原題:Orphan)
    監督:ジャウム・コレット=セラ(Jaume Collet-Serra)
   制作国:アメリカ
 劇場公開日:2009年10月10日
  上映時間:123分
  ジャンル:ホラー

〈あらすじ〉
ケイトとジョンは、2人の子宝に恵まれていたが3人目のジェシカは産声をあげることなく死産してしまい、悲しみに暮れていた。
ジェシカに与えるはずだった愛情は行き場を失い、精神的に安定せず死産の悪夢を見るケイト。そして、養子を迎え入れるために訪れたある孤児院で出会ったエスターという少女に夫婦共に惹かれ、引き取ることに。
家族は5人になり、末っ子のマックスはエスターと早くから打ち解け好調なスタートと思われたが、段々とエスターの奇行や意味深な発言にケイトは不安を感じ始め・・・。

〈ADI Score〉・・・映画のスコアを作品ごとの項目に分けて採点
話の面白い度:★★★☆☆
   怖い度:★★★★☆
情緒不安定度:★★★★★
騙された!度:★★★★★

〈感想〉
123分と丁度良く集中して観れる長さのホラー映画。
しかし、その123分の中でどれだけ感情がころころと変わったのか分からないくらい、感情の振り幅が大きかった。
また視聴前は、勝手にカルト系の怖さの映画だと思い込んでいたが、カルトでもゴーストでも未確認生物でもなく、ただただ人間が怖い系という、精神に来る系の内容だった。

以下ネタバレあり

まず最初は怖い怖い。出産のために訪れた病院で車椅子に乗せられ、出産前の”おしるし”にしては異常なほど出血するケイト。
意識を取り戻すと、なんともサイコパスじみた表情の夫ジョンと助産師に胎児を吸い取られ・・・と、すごくグロテスクなケイトの悪夢の描写から始まる。
そういえば、ジョンが出産の様子をカメラに収めているシーンがあったが、あれはアメリカでは普通のことなのだろうか。自分だったら絶対に収められたくない。

その後、夫婦が孤児院で出会ったエスターはとっても可愛くて、絵が上手で、歌がうまくて、社交的でまるで天使のような少女だった。
孤児院で出会う〜プレゼントを貰うまでは、『エスターが可愛い。』『ジェシカの薔薇の話を聞いて涙を流すなんて、エスターはなんていい子なんだ・・・』、家族っていいな、血縁なんて関係ないなという、謎の感動とエスターの可愛さに呑まれ、ホラー映画だということを忘れた。

好調なスタートとなった5人体制だが、エスターはやっぱりやばい子(子と付けていいのかもわからない・・・)だった。
孤児院のシスターがケイト宅を訪ねてきて、孤児院に戻されるという危機を察知したエスターは、帰り際のシスターを殺すシーンがある。サイコパスな殺し屋やカルト系の殺しは、殺している時の表情に一点の迷いも罪悪感もなく、殺しを楽しんでいるかのような気持ちが読み取れるが、エスターは何かが違う。一点の迷いもなく殺しをしているのは違いないが、特に楽しむわけでもなく、正気な状態でただただ真顔で、シスターを滅多刺しにするのだ。
その少女の淡々とした殺人の様子に、開いた口が塞がらなかった。

個人的に感情が一番忙しくなったのが、あの”白い薔薇”を、ケイトへのプレゼントとして摘んでくるシーンだ。流石に叫んだ。恐怖・怒り・悲しみなどマイナスの感情全部が一気に襲ってきた。
この時はまだエスターにまんまと騙されてたジョンは本当に鈍いと思う。

その後色々とあり、ラストシーン。誰もが9歳の少女だと思っていたエスターは、実は発育不全により外見が少女なだけの33歳のおばさんだった・・・。騙された〜!!

考察

エスターは外見が少女すぎるため、同じ年代の男性に性的に見てもらえず(幼女との性行為はアメリカではかなり罪が重い)、そういった行為に憧れを通り越して執着を抱いてしまったんだろう。
そう考えるとエスターの目的は、たくさん人を殺すことでも家族の本当の愛を知ることでもなく、引き取ってもらった家庭の夫とそういった関係を持つことだったのだ。その1つの目的のために、ケイト家に辿り着くまで、一度は家族になった人々を大勢殺してきたのだ。いや〜話が重い。どう考えてもエスターが異常なことに変わりは無いのだが、発育不全は誰かに責任転嫁することもできないし、なんか少し可哀想だと思ってしまった。

最後の最後に、エスターに異性として好かれていることに気づいたジョンはエスターを拒絶し、怒り狂ったエスターはジョンを刺殺するのだが、エスターが33歳なことを知る前に死んでしまったジョン、なんか可哀想。最後までエスターのおかしさに気づかず、ケイトにひどいことを言ったのは本当に夫としてどうなのかと思うが、最後はただの悩める父親で、あっけなく殺されてしまった為、少し同情してしまった。

ラスト20分は目が離せなかった。しばらくエスターの笑顔が夢に出てきそうです・・・。

次はもっと明るい作品を観ようと思います!
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