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「はかれないものをはかる」ー自分のものさしに気づかせてくれる絵本

わたしたちは数で世界をみようとしている。
毎日○○人と報道されていたり,運動時間は○○時間と決めたり,
スキが○○個ついたとか,○○日継続したとか。

数はとてもわかりやすい尺度である。
○○時間は,誰に伝えても○○時間で,同じものをイメージできる。

日々誰かと比較して,あるいは,前の自分と比較して,
優位に立った気がして悦に入ったり,自分の成長を感じたりしている。

数で示された目標は,その目標にどれだけ迫っているのか,どれだけ足りないのか,とてもわかりやすい。
「あの子に好かれる」と目標を立てるより,「あの子に好かれるために1日2回は話しかける」と目標を立てた方が,圧倒的にわかりやすい。


世界には,はかれるものばかりではない。


それに気づかせてくれたのが,「はかれないものをはかる」という工藤あゆみさんの絵本である。

帯には谷川俊太郎さんの言葉がある。

お金ははかれます。命ははかれません。
はかれないものをはかるには,
目盛がない魂の秤が必要です。

自分の感情を言語化するのは,難しい。感情を数にすることはできない。
「私は10悲しかった」なんて言われても,よくわからない。

よくわからないから,おもしろいのだけれど,
よくわからないから,私たちは悩むのだ。

無理にして,はからなくてもいい。
ただ自分がどのように感じているのかを,この本は教えてくれる。

例えば,

心の扉の強度を測る

自分の強度はどれくらいなんだろうなあ,って。
もしかしたら,扉が開きっぱなしの人もいるかもしれない。

過去のことは水に流すのに必要な水量を量る

水量を量ることはできても,この水量を量ることはできないや。
わかったら,楽なのかも,なんて思ったり。


数も大切。だけど,はかれないことも大切。
誰かのものさしではかるのではなくて,自分の魂の秤ではかりたい。


なにかいいことが降ってきそうな角度を測る

その角度を探して,いつもと違う景色を見てみよう。
角度を変えたら,なにかいいことが降ってくるかもしれない。

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