女子大生のそのあと(2)

大学三回生になり、初めて将来のことを真剣に考えた私は、幼い頃から親に海外旅行に連れて行ってもらっていたことや、叔母がNYで働いていること、従妹が日本とアメリカのハーフであることなど、自分が他の人より海外をより身近に感じてきた人生だった気づいた。

そして、旅行先として海外を訪れることももちろん大好きだったが、生活の場として海外経験をしてみたいと自分自身が無意識に思っていたことに気づいた。

そこで就職したい業界は、海外が舞台の会社となった。


海外市場での売り上げをメインとする日系メーカーや総合商社を志望し、結果として私がファーストキャリアとして選んだのは総合商社となった。

さらっと書いたけど、たぶんそれなりに、努力した。

就職活動は、大学受験に失敗した私が自分のことを好きになる最後のチャンスだった。

幸い、机に向かって公式や日本の歴史、生物の構造を暗記することより、私を知らない人に、自分の考え、強さや弱さをどうしたら上手く伝えられるかに向き合うほうが性に合っていたようで、満足のいく結果を得ることができた。

自分を好きになることに成功したかどうかは、まだわからないけど。



学生という肩書に甘え、親のお金で海外旅行に行ったり、夕方に起きて化粧をし、友達との飲みに行くだけの、毎日が天国みたいな残りの学生生活を終えて、幼稚園からずっと住んでいた、関西の実家を初めて離れ、東京に出てきたのが約2年前。


あっという間に学生の自分が過去になり、すっかり社会人に慣れた。

自分一人だけの深夜のオフィスにも、新橋で戯れるサラリーマンの大声にも、真冬なのにやけに寒そうな恰好をしている六本木の女の子にも、結構慣れた。

女の幸せとして象徴されがちな「結婚」にどちらかといえば前向きではない私が、この人となら結婚したいかもしれない、と思うような人と初めて出会い、付き合い、別れたりもした。


この春で、社会人3年目。


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