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ひとは中身か外見か②藤井風に寄せて


人となりは外見によって判断される?

人は外見によって相手の職業や、人となりを判断する傾向があるそうです。1人の人間が服装のみを変えた場合、印象はどのように変化するのでしょうか?

「ひとは中身か外見か」2009年の6/14、かれこれ12年前に執筆した記事です。6/14といえば…わたしがここ1年以上、気になり続けている藤井風さんのお誕生日。「外見が良いのはノイズ」とも語られる藤井風さんに寄せて加筆修正しました。

Vol.1はこちら


外見を変えて写真を撮るという実験アート

写真家の澤田知子さんは、そういった人の外見に注目し、「Costume(コスチューム)」というタイトルで「女将」や「受付嬢」「婦警」など、さまざまな職業に扮してセルフポートレートを撮影しています。


東京都写真美術館で開かれている澤田知子さんの個展



このインタビュー動画の中で澤田さんは

よく私は「演じているんじゃないか」とか「誰かになり切っているんじゃないか」と言うふうに言われることが多いんですけども、それは鑑賞者の方がそういうふうに「とられる」ということで、わたしは演じてはいません。


でも、そこで演じているのか演じていないのか、色んな風に作品を解釈される。わたし自身はそうじゃないのに、違う解釈をされるということも含めて、私が化かしているのか皆さんが化かされているのか、そういういろんな矛盾であったり、わたしのメッセージのない作品の中で、皆さんがどういう体験をするのか、ということも私は楽しみにしています。


彼女は自分の外見にコンプレックスを持ち続けていたといいます。しかしある時、セルフポートレートを見て「写真の中の自分はかわいい」と思ったそう。それを機に「外見と内面の関係性」をテーマに作品を作り続けてきました。

上記のリンク先では、澤田さんの作品「OMIAI」などが見られます。こちらも全て、澤田さんがさまざまな服装のお嬢さんに扮し、写真館で「お見合い写真」として撮影されたものです。

これらを見ると、同一人物でも服装と髪型を変える事により、随分と印象が違ってくることがわかります。


30人に扮した「OMIAI」では、どれも澤田さんだとわかっているのに、見る人から「この子は料理が上手そう」「この子は金遣いが荒そう」などと言われたそうです。外見が人に与える影響は、どうやら想像以上に大きいのかも知れませんね。


外見を変化させようと、内面は自分自身そのものであることは変わらない


そこでふと思い出したのが、TV番組の「ビューティーコロシアム」です。この番組では、外見にコンプレックスを持つ女性が美容整形手術を受けます。理想の外見を手に入れた彼女らが心機一転、新しい人生を歩みだすまでの決意と変化を追ったバラエティー色の強い番組だっと記憶しています。


出演者の女性たちは皆、口をそろえて「外見さえ美しくなれば幸せになれる」と語ります。そして自分が今、不遇の身であることは「全て自分の外見に起因している」と嘆くのです。

その状況から抜け出すために、痛みやリスクを伴っても美容整形を望んでいることが、とても印象的でした。


美容整形によって「理想の外見」を手に入れた女性達の表情は大きく変化します。まるで内面までもが、別人のように「変身」したかのようでした。(もちろん、ある程度は番組の演出もあるのでしょうが 笑)

外見上だけでなく、人によっては日常生活への支障や健康上にも問題がある場合もあります。美の基準は人によって感じ方も異なり、日々刻々と変化するもの美容整形の是非を問うのは、とてもデリケートで難しいのです

しかも、外見が人に与える印象は大きいとは言え、どんなに見た目を変化させようと、内面は自分自身そのものであることは変わりません

美容整形をして理想の自分に変身した彼女たち。もし、なんら変化していない自分自身の内面に気付いたとしたら?!

番組は、その時に彼女達がどうやって自分を適応させるのかまでは、密着取材はできないのでしょうけれど。


この記事を書いていたら、noteのおすすめで興味深い記事を見付けました。

この記事の執筆者は「性格の良さと外見の可愛さは比例しない」「外見と中身は関係ない」。「内面が第一説」を身もフタもなくバッサリ切っています。いろいろ考えさせられる文章。


「憑依型」といわれる藤井風さんは?


ミュージックビデオの監督から「憑依型」といわれる藤井風さん。彼は演奏する曲や出演するミュージックビデオによって、カメレオンのように表情が変化します。その変幻自在な彼の外見に魅力を感じているファンも多いことでしょう。

写真家の澤田知子さんは、「鑑賞者がそういうふうに”とられる”ということで、わたしは演じてはいない」と言います。風さんは「演じる」「なり切る」ということに対して、どういう感覚でパフォーマンスしているのでしょうか。ご本人にうかがってみたいものです。


結局、藤井風さんのどこに魅力を感じるのか?

魅力的だと感じるポイントは人それぞれですよね。音楽?キャラクター?それとも外見?いちばん惹かれるのはどこなのか…?!突き詰めていくと、おのずと自分の”内側”が見えてくるような気がします。

わたしは最初、彼の弾くピアノに惹かれました。何より音楽性にいちばん魅力を感じています。ですが、藤井風さんがあの外見でなければ「フィギュアを作ろう!」とまでは思わなかったでしょう。

音楽以外に、さらに深く興味を持ち観察を続ける対象として、やはり彼の外見は大きく影響しているのです。


フィギュア制作、予想以上に難航。現在vol.13まで進行中です。

こんな風に全方向から藤井風さんを観察しています。


音楽性、外見、キャラクター、思想などアーティストに興味を持つきっかけは人それぞれ。さまざまな要素が絡み合ってその人をかたち作っているのですから、どこから入ってもいいと思います。

アーティストは多くの人に注目され、売れてこそです。間口は広い方がいいし、親から受け継いだ”容姿というカード”も活用すればいい。日々一刻と移ろいゆくものがあれば、どんなに変わったように見えても「変わらないもの」もあるはずです。

進化し続ける藤井風さんと、HEHNオフィスの動向からは目が離せません。風さんには本年度も、たくさんのワクワクとキラキラを届けてほしいです。

藤井風さんのこと、いろいろ書いてます。


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