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死にたくてどうしようもないから歌うんだよ。

森山直太朗さんの「生きてることが辛いなら」がすきだった。丸暗記してよく歌った。

“くたばる喜び とっておけ”

けれど歌いすぎて、わたしのなかに存在していた歌のパワーが消滅してしまった。いや、消費し尽くされたといったほうがいいのか。
歌うことでは命を紡げなくなってしまった悲しみはおおきく、悪あがきのように歌う。諦めているのに諦めていないかのように。

死にたくてどうしようもなくて、その事実がどれだけ大切なひとを傷付けようが、じぶんを傷付けようが、変わらずどうしようもなく死にたい。
きっといっしょう死にたいままなんだろうと、主治医との見解は一致している。こんなに苦しくてたまらないことが、苦しくてたまらないままここにある。いつまでもある。いつもある。

誤魔化しながら生きているから、じぶんにとってのほんとうも見えにくくなってしまった。
歌を口ずさんで、無邪気に和んでいたことなんてあるのだろうか。あったのだろうが、もう忘れてしまった。
いまのわたしが歌うとき、それはすべて死にたくてたまらないじぶんへの慰めだ。歌なんかに慰められない事実に打ちのめされ、それでも耳にする歌声に涙する。

死にたくてたまらない。その衝動を歌に託す。
わたしはきょうも、死にたくてどうしようもないから歌う。

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