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【第10回】小説限定読書会 ※課題本「正欲」(朝井リョウ)

いつも行っている小説限定読書会は自由におススメ本を紹介いただくビブリオバトル形式で行っていましたが、今回はかねてよりやりたかった課題本形式で行いました。

課題本は朝井リョウさんの「正欲」

個人的にも初めて読んだ時には衝撃を受けた本だったので
課題本をやる時は先ずはこの本で、と決めていた作品でした。

今回は14名(初参加:5名)集まっていただき、
「正欲」についていろんな視点からお話が出来ました。

全員の感想は聴けていないですが、自分で聴けたものだけ。

・夏月が自室でYoutubeコメントを観ているシーンは、様々なフェチを持つ物からコメントが投稿されているが、彼らは彼らで苦しさやドラマがあるだろうし、誰の視点からみるかによって全然違う感想になるだろうな

・表紙は何を表しているのか?写真は菱沼勇夫の「Let Me Out」が使われているが、鴨の足首は何かがくくられていて吊られてる?
そうすると鴨の向かう先は下?底?
でも色の濃いところから明るい方に向かっているのは何故?
他人から見れば底に向かいながら、でも自分の欲としては欲しているものに向かって行っているから明るい?

・性欲と犯罪を結びつけ過ぎじゃないか?

・共感出来るところわざとなくしている?

・夏月らは”水”が性的指向として好きだから、まだラク。だってずっと両想い。誰にも邪魔されない。これが対象が人間であれば邪魔もあるし相手からの拒絶もあるが、それが無いのはむしろいつでも性的快楽を得られるし、誰にも迷惑かけないしいいのでは?

・異常性愛は相手(人)がいるから、その人の不快感があるから犯罪になる。夏月らはその対象が人でない。自由にそこだけみていればいいのに、何故そこまで人に承認されたがる?

・中学の時に感じていたものを30歳になってもまだ持ってるのはちょっと。。。

・最近のさまざまな作品で、実は性的マイノリティでした、というのが意外でした!という意味でオチに使われることが多いが、「正欲」はスタートがそこで、そこからマイノリティについて考えられていたのは面白かった。

・マイノリティ側もマジョリティー側も双方に対して理解しようとしていないのは一緒では?

・”水”が好きでも、そこまで排除したいと積極的に思うほどではない。絶妙なラインかつ普段の身近なものを性的対象にしているからこその驚きは、設定が上手い。

・みんな性格はバラバラなはず。世界はそこの前提を受け容れているけど、それが性的なものになると一気にみんな引いてしまう。自然と一緒を求める。そこがもう少しフラットになれば。。。

・一コの選択肢だけでなく、ラストの選択肢の幅の広さが良かった。

・性的なもの以外に目を向ければもう少しラクに生きられるのでは?性的なところ以外の好きが一致するだけではダメだったのか?

・性の視点から描かれているのはわかるが、他の部分で人間が全く一緒なことはない。性的部分ではマイノリティでも、他の部分でマジョリティーなこともあるはず。性的側面からマイノリティで社会から距離を置いていくのはどうなのか。。。?マジョリティーな側面から人と繋がろうとすることは出来なかったのか?


もし「小説限定読書会」にご興味ある方いらっしゃれば、
こちらで開催日時などの情報を発信しているので
もしよろしければご登録ください。



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