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デスゲームに挑む理由も人それぞれだから、シリーズが盛り上がる2巻(鵜飼有志:『死亡遊戯で飯を食う。』2)

『死亡遊戯で飯を食う。』の第2巻を読了しました!シリアスで刺激的な物語、そしてダークヒロインめいた主人公・幽鬼ユウキのキャラに心を掴まれ、1巻を読了した時から続きが待ち遠しい作品でした。

前巻の感想もnoteにあるので、そちらも一緒に読んで頂くとよりシリーズの良さが伝わるかと思います。

感想

2巻では、廃ビルを探索する「スクラップビル」と、風呂場で激しい札の争奪戦が繰り広げられる「ゴールデンバス」の2つのデスゲームが描かれました。

まず1話目のスクラップビル。作品の設定上、話が始まってすぐに脱落するキャラクターも少なくなかった前作に比べると、このエピソードは他のプレイヤーが死にかけても、なぜか幽鬼が助けるといった展開が多かったので疑問に感じました。

でもその疑問の正体は、ゲームの仕掛けをいち早く見抜いた幽鬼の作戦であったことが判明します。誰にも頼らず、自分のスタイルでゲームを攻略する幽鬼のかっこよさは今回も健在でした。デスゲームでもいろんなルールがあることが今回判明したことで、シリーズの幅も広くなったような気がします。

また今回は幽鬼の物語であったのと同時に、御城ミシロというプレイヤーの物語でもあったように感じられました。御城は他のプレイヤーからちやほやされるのを好む人物として描かれていました。作中でも彼女を頼って生き延びようとするプレイヤーが多く登場していました。

スクラップビルで幽鬼と出会い、デスゲームへの向き合い方の違いをぶつけられたのを機に、御城は「幽鬼に勝ちたい」という目的でデスゲームに挑むようになります。2話目のゴールデンバスでは、御城のデスゲームに対する思いがより深く描かれていきます。

幽鬼に勝つために、御城を尊敬する他のプレイヤーを「自分の体の一部」だと思って利用する。このシリーズには「他のプレイヤーを頼りにして生き残ろうとする」人物もよく出てきますが、そういった人たちの気持ちを利用して1番になろうとする御城からもなかなかの狂気を感じました。

その一方で、ただ単にお金が欲しいとか度胸試しとか、幽鬼のように勝つことが目的とか、プレイヤーごとのデスゲームに挑む理由を知るのも興味深いシリーズだと今回思いました。そんな中での御城の登場は、シリーズをより盛り上げてくれたと思います。今後どんな思いでデスゲームに挑むプレイヤーが出てくるのか、ますます気になってきました。

多くのプレイヤーを苦しめてきた難関の30回目のゲームを乗り越えた幽鬼。だけど彼女が目標としている99連勝にはまだまだ遠いです。予測不能なこのシリーズゲームを私はこれからも追いかけていきたいです。

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