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第13回:『声が出なくなったので、会社を辞めて二人暮らし始めました。』で「言葉」が持つ凄い力を実感した

おはようございます!あみのです。今回の本は神戸遥真さんのライト文芸作品『声が出なくなったので、会社を辞めて二人暮らし始めました。』(メディアワークス文庫)です。今回もタイトルが長い!神戸さんの作品を読むのは『ニセモノ夫婦の紅茶店』シリーズ以来で、3冊目ですね。ちなみにニセモノ夫婦シリーズに出てくる秀二さんという男性キャラクターが私は凄く好きです。

今作は恋愛系の小説やドラマが好きな人はもちろん、自分の気持ちをはっきり言うことが苦手という人にも凄くおすすめしたいです。きっと今作の主人公の成長から、「言葉」というものがどれほど強い物なのかを再発見できると思います。文章もとても読みやすい作品です。

あらすじ(カバーからの引用)

人生ドン底な私の前に謎多き年下男子が現れた。
 仕事は辛くて友だちも少なく、元カレはクズ。ストレスが原因で声が出なくなり会社を辞めた絵麻。無職になり祖母の遺した家でずぼらな引きこもり生活をしていたが、突如親友の弟・空が現れる。
「俺がここに住むの、どうですか?」空の強引な提案で一緒に暮らし始める二人。空の手料理やお世話により、絵麻の生活は改善されていくが、空には秘密があって……。
『おいしい』『ありがとう』『好き』——声が出なくても想いは文字(カタチ)にして伝えたい。優しく言葉を綴る恋の物語。

感想

この物語から最も感じたことは、「どんなに些細な言葉でも、気持ちが込められていれば必ず相手に伝わる」ことです。あらすじにも書いてあるように、主人公の絵麻は日常のストレスで声が出なくなり、筆談で相手とのやりとりをするようになります。絵麻が放つ言葉はシンプルな言葉が多かったです。だけど、同居人の空をはじめとする絵麻の周りの人たちは、そのシンプルな言葉に心を動かされていきます。

物語の終盤、自分の気持ちを理解してくれない母親やどうしようもない恋人の九條と「言葉」で向き合うことになります。痛々しい言葉も飛び交い、読んでいて辛くなる場面でもありました。でも、空との生活から得た「言葉で自分の気持ちをはっきり伝える」ことを活かし、この危機を乗り越えます。2人ともなかなかの強敵ではありましたが、誰にでも感情をはっきり伝えることができるようになった絵麻の成長に拍手を送ります。

また、絵麻は元同僚の柚葉とは価値観が合わなくて苦手だと思っていました。柚葉は要領がいいところなど、絵麻にはない強みを沢山持っています。しかし、柚葉自身にもネイルサロンを開きたいという目標があり、仕事の後に専門学校に通っていたことを知ります。職場や学校で見ている姿だけがその人の本当の姿ではないことがよく感じられたエピソードでした。柚葉の存在は、後に絵麻が新しい目標を見つけることができたきっかけにも十分なっていると思います!

あと、作中で空がいろんなお菓子を作っていましたが、どれもとても美味しそうに描かれていました。中でも、餃子の皮を使ったエッグタルトが私は気になりました。身近な物で作れそうなお菓子が多かったので、巻末とかに作中のレシピがまとめてあったらお菓子作りへの関心をより持てたのかなぁ…と思いました。

最後に気軽に読める恋愛小説を求めて手にしましたが、予想以上に学んだことが多い作品で、読後は素直に「読んで良かった」と思えた1冊でした。私もかつての絵麻のようにはっきり物事を伝えることや断捨離が苦手なので、彼女の成長や空のてきぱきとした行動力はぜひ参考にしたいですね。

今回も読んで頂きありがとうございます。また素敵な作品が見つかったら紹介しますね!

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