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第11回:『お嫁さんにしたいコンテスト1位の後輩に弱みを握られた』は、「好き」という感情への共感が止まらない1冊だった

こんばんは!あみのです。最近、読んだ本で好きな物語によく当たっているので嬉しいです。さて、今回の本は岩波零さんのライトノベル作品『お嫁さんにしたいコンテスト1位の後輩に弱みを握られた』(MF文庫J)です。ラノベ特有のタイトルがとても長い作品ですね。

今、この記事を読んでいる方で二次元でも三次元でも良いので、ひとりでも「推し」と呼べる存在は自分にはいますか?タイトルは「ヒロインがただ可愛いだけのラブコメ」という印象を放っていますが、内容はひとりの声優を応援する2人の高校生の「推し活」を描いた物語です。

何か好きなものがあり、毎日が楽しいと思っている方へ。今作に登場する「好き」という気持ちを大切に生きるひとりの女子高生にぜひ出会って頂きたいです。

あらすじ(カバーからの引用)

先輩、わたしに黙ってて欲しいなら、……わかりますよね?♡
高校生の不破大翔は孤高の秀才を演じるため、他人に弱みを見せないように生活している。しかしある日、道ばたで猫に猫語で話しかけている姿を朝日優衣奈に動画撮影された上、隠れ声優オタクなことを見抜かれてしまう。優衣奈は『お嫁さんにしたいコンテスト』で1位だった超絶美少女なのだが、実は女性声優オタクで、しかも最推しが大翔と被っていた!「わたしと一緒に推しのイベントに行ってください!」「断る。俺は1人で楽しみたいんだ」「先輩?わたしが弱みを握っていること、忘れちゃったのかにゃあ?」「くっ……!」最初は噛み合わなかった2人が、好きなものを共有して少しずつ近づいていく恋愛小説。

感想

まず朝日さんの「推し」に対する考え方、凄く尊敬したいです。近年、「オタク」への理解度や世間の考え方はかなり変わっていると思います。また「推し活」をしている人を巷で見かけると、私は見ていて幸せな気持ちになり、思わず応援したくなります。世の中にはいろんなジャンルがあってそれぞれにファンはいますが、それでもジャンルによっては理解が足りていない部分もまだ残っているようにも感じられます。

主人公の大翔とヒロインの朝日さんは、神崎真桜さんという女性声優さんを推している共通点があります。大翔は中学時代のトラウマによって、周りに真桜さん推しであることを言い出すことは恥ずかしいと思っていました。一方の朝日さんは彼とは真逆で、誰にでも平気で真桜さんの話をします。そのような朝日さんを見て大翔は衝撃を受けますが、なぜ彼女は周りの目を気にせず好きな声優の話をするのか、その理由にとても惹かれました。

そもそも、サッカー選手や野球選手を応援するのは良くて、なんでアイドルや声優さんを応援するのはダメなんですか。目標に向かって努力しているという点では同じじゃないですか
好きなものをまっすぐに好きだと言えた方が、人生は楽しいじゃないですか

上記の引用は、私が中でも印象に残った朝日さんのセリフです。朝日さんは推し活において、「他人の批判を恐れる」ことよりも「好きだという気持ちをとことん伝える」ことを圧倒的に大切にしています。彼女のこういうところは凄く見習いたいですし、多くの方に朝日さんの愛に溢れた価値観に共感して頂きたい!と読みながらめちゃくちゃ思っていました。

真桜さんを通して、大翔と朝日さんは「推し活」を共にする仲になっていきます。その中でも真桜さんの生誕祭イベントでの出来事は、読んでいて私まで嬉しい気持ちになるエピソードでした。推しから予想外の貴重な物を頂いた朝日さんの幸せぶりは本当に最高でした!私ももしその場にいたらきっと彼女が羨ましくて仕方ないと思うし、見知らぬファンがしつこく話しかけてきた気持ちもわかります。(でも、推しへの愛でしつこいファンの気持ちを変えてしまったのも流石でしたね!)

「好き」を共有する楽しさを実感できた良作なのは確かですが、それにしてもエピローグのあの展開は一体何なんですか?今作を最後まで読まれた方はきっとこのエピローグには驚くと思いますし、朝日さんが更なる幸せを獲得するシーンが私は見たいです。見た過ぎます。朝日さんのような周りの目を気にせず自分の「好き」を伝えられる人間になりたいと思った1冊でした!

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