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第150回:「本当の自分」は最高の仲間が知っている(汐見夏衛:『君はきっとまだ知らない』)

こんにちは、あみのです!
今回の本は、汐見夏衛さんの『君はきっとまだ知らない』という作品です。汐見さんの作品をnoteで紹介するのは8冊目となります。私のnoteではすっかりおなじみの作家さんです。

私は図書館で借りた単行本版を読みましたが、今作は先月末にスターツ出版文庫から文庫化しています。文庫版のカバーは別のイラストになっていましたが、個人的には単行本時の方が私の中の今作のイメージに近いな~と思っています。

あらすじ

君は、苦しみの中に差し込む眩しい光だ―。光夏は、ある出来事からクラス中で無視されていた。辛さに耐え、息を殺して過ごしていたある日、幼馳染みの千秋、春乃、冬哉と久しぶりに再会する。いじめの事実を隠す光夏だが、思い切って打ち明け、前を向けるようになる。しかし、ある違和感に気づいたとき、事態は急変する…。「光夏は、まだ自分を知らないんだね」全ての真実を知ったとき、奇跡の光が降り注ぐ―。

Amazonより

感想

テーマはかなりシリアスではありましたが、読後は不思議と温かさを感じられる非常に汐見さんらしい作品でした。

クラスメイトからいじめを受け、辛い学校生活を送る主人公の光夏ひな。彼女は幼なじみの千秋、春乃、冬哉の3人との再会によって、教室以外にも自分の居場所はあること、辛さを一緒に乗り越えようとする仲間がいることを知っていきます。

光夏は学校でのことを誰にも話せず、一度現実から逃げようとします。でも千秋たちに今の苦しみを思い切って口にしたことで、光夏は厳しい現実に立ち向かうための自信をつけます。悩みを誰かに話すことで変わる未来があることを改めて感じた作品でした。

「間違ったっていいんだ。人間は誰だって間違うことがあるよ。弱くたっていい、弱さは悪いことじゃないんだから」
(中略)
「だから光夏には自分の弱さも受け入れてほしいし、俺には――俺じゃなくてもいい、光夏を愛してる人たち、どんなことがあっても愛している人たちには、弱音を吐いていいんだからね」

p213

光夏のいいところも弱さも知っている千秋たち幼なじみは良き味方だと思ったし、何よりも上記のような千秋の言葉は光夏だけでなく私の気持ちも軽くなったような気がしました。高校生でこんなにも素敵な言葉を異性光夏に言える千秋、めっちゃくちゃいい人だよ。

汐見さんの作品でまたひとつ生きていくために大切なことを学びました。次に私が手にする汐見さんの物語ではどんな人物、生きづらさを乗り越えるヒントに出会えるのか楽しみです。

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