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第53回:最高に元気が出る「人が死なない」ミステリー!
こんにちは、あみのです。今回の本は、柊坂明日子さんのライト文芸作品『おばさん探偵 ミス・メープル』(小学館文庫)です。
私は「ミステリー」というジャンルでも特に、魅力的なキャラクターが活躍する作品が大好きです。
あらすじを読んだときから「絶対に面白い作品なんだろうな」と予感していた1冊。ギャップ&ツッコミどころ多すぎな楓子さんと、彼女に振り回される吉井くんのキャラクターは、まさに私が求めていた面白さでした。
人が死なないタイプのミステリーなので、残虐な物語が苦手な人でも気楽に読めると思います。楓子さんのクセのあるキャラクターや、「優しさ」を感じる謎解きにとても元気が出る1冊です!
あらすじ(カバーからの引用)
東京都世田谷区の一等地にレトロな洋館が建っている。この屋敷の住人の名は、森野楓子。おっとり天然おばさんである彼女の正体は、実は(本人的には大変不本意ながら)大河ショー和というペンネームの売れっ子ハードボイルド作家だ。作風と著者自身のキャラクターがあまりにもかけ離れているので、その公式イメージを守るための苦肉の策として、担当編集者の吉井くんが影武者に立っている。一方、楓子さんはといえば、いつか元の絵本作家に戻ることを夢見ているのだが……。
令和に生きながら心は永遠に昭和と共にある、超マイペースな名探偵、ここに誕生!
感想
「昭和」という時代をこよなく愛する楓子さんは、人気絵本作家となり、優雅な生活を送ることが夢です。ちなみに楓子さんには「平成」と「令和」という概念はありません。彼女の中では今でも「昭和」が続いています。
かつて絵本を出した経験はあるが全く売れず、彼女は渋々ハードボイルドという別のジャンルで活躍するようになります。(しかも、このジャンルではそれなりの人気作家というのがまた笑いを誘います)
「大河ショー和(たいがしょーやまと)」として男性ウケの強い作品を書きつつ、絵本作家としての復帰のチャンスを狙う楓子さん。自作の映画化やコミカライズの依頼が来ても、すぐ絵本作家復帰への踏み台にしようと目論みます。
豪華なパーティー、人気漫画家の仕事場。人気作家(一応)にふさわしい舞台で楓子さんを待ち受けていたのは、想像以上に闇が深い事件の数々でした。
今作で楓子さんが遭遇した事件たちは、世の中のルールや他人のエゴが原因で生まれてしまったものが多い印象がありました。
もし、誰かがこれらの謎に気が付かなければ、救われなかった「人の心」もあったのかもしれません。見事な謎解きと持ち前の優しさで人々の心を救っていく楓子さんの姿に私はとても惹かれました。他人の「良いところ」を積極的に発見できる楓子さんのような人間に憧れますね。
また、公に出るときは担当編集者である吉井くんと立場が入れ替わるという設定もめちゃくちゃツボでした。
必死に逆の立場を演じる2人の苦労や、事実を知らない人との噛み合わないやりとりは読んでいてとても微笑ましくなりました。私は吉井くんに「頑張れ」と言いたい。
心温まる救済のミステリーであり、たくさん笑えるコメディでもある。現代の空気に流さず、自分のペースで今を生きる楓子さんのような生活も悪くないかもと思いました。
6月に続編が出るみたいなので、継続して読もうと思います。果たして楓子さんは念願の絵本作家に復帰できるのか。吉井くんはまだまだ楓子さんの扱いに苦労しそうな予感がしますね…。
とはいえ、次回はどのような謎や楓子さんたちのキャラクターが楽しめるのか待ち遠しいです。長期シリーズとなって、いつかはキャラミスを更に盛り上げる作品へと成長したら嬉しいですね。
最後に、今回も私の感想を読んで頂き、ありがとうございます!(やっぱりミステリー系作品の感想文は苦手…)
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