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第62回:もっと仲良くなりたいから、「LINE」がしたい

こんにちは!あみのです。
今回の本は、此見えこさんのライト文芸作品『今夜、きみの涙は僕の瞬く星になる』(スターツ出版文庫)です。
以前、noteにも感想を上げた『きみが明日、この世界から消える前に』の作家さんの2作目です。

日々の何気ない「生きづらさ」の描き方が印象的だった前作。個人的に気になっていた2作目は、多くの方が使っているであろう「LINE」が大きなカギとなる物語となっていました。

前作同様、とても共感性の高い作品だと思います。LINEなどSNS上での言葉のやりとりが苦手だと感じている人に特におすすめしたい1冊です。

あらすじ(カバーより)

君だけに見せた心の傷もいつか笑える過去になるのかな
恋愛のトラウマのせいで、自分に自信が持てないかの子。あるきっかけで隣の席の佐々原とメールを始めるが突然告白される。学校で人気の彼がなぜ地味な私に?違和感を覚えつつも付き合うことに。しかし、彼はかの子にある嘘をついていて…。それでもかの子は彼の優しさだけは嘘だとは思えなかった。「君に出会う日をずっと待ってた」彼がかの子を求めた本当の理由とは…?星の見える夜、かの子は彼を救うためある行動に出る。そして見つけたふたりを結ぶ真実とは――。切なくも希望に満ちた純愛物語。

感想

好きな人への「鬼ライン」による失恋を経験したかの子と、いつもLINEをいじっていることから「地雷」と揶揄されるようになった佐々原くん。「LINE」に関わる秘密を抱える2人のちょっと変わった青春の物語でした。

私も「既読スルー」とか相手にメッセージを送ることが迷惑だと思われてしまうのが怖くて、いまだにLINEでのやりとりは苦手です。なので、LINEでメッセージを送るのを躊躇ってしまうかの子の気持ちには共感しました。

作中にてかの子の元彼と佐々原くんが、LINEでのやりとりを巡って言い合うシーンがありました。「しつこいくらいにLINEしてくるから、かの子には関わらない方がいい」と考えを押し付けてくる元彼への佐々原くんの反撃の言葉に、私はとても感銘を受けました。

「だって送りたいことがあるなら、毎日だろうと送るでしょ。十通だろうが百通だろうが。それのなにが悪いの。送りたいときに送りたいこと送るもんでしょ、ラインって」

佐々原くんにはかの子とは別に好きな子がいて、叶わぬ恋でありながらも今でも毎日のように相手へLINEしています。佐々原くんは恋愛に対してはかなりクレイジーな人物だと思います。

でも、彼を見ているとLINEとは連絡のツールだけでなく、仲良くなりたい人ともっと仲良くなるためのツールでもあることを強く感じさせられます。LINEで話せば、学校や職場では見れない気になる人の意外な姿が見られるかもしれませんね。

LINEなら学校以外でも気になる人とじっくり話すことができる。何気ない会話を楽しんだり、お気に入りのスタンプを使ってみたり。私もLINEで積極的に仲良くなりたい人と話してみようと思いました。

***

今作を読んで此見さんは、日常生活における些細な悩みにそっと寄り添うような物語が得意な作家さんなのかなと思いました。今回のLINEに関する悩みのお話も、読み終えた後は心がすっきりとしました。

少しの毒を含んだ青春と、日常の何気ないようで結構深刻な悩みと向き合う物語が得意な此見えこさん。もっと多くの人に作品が広がってほしい作家さんです。

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今回も感想を読んで頂き、ありがとうございます。
また素敵な作品に出会えたら紹介しますね。(図書館で借りてきた本をそろそろ読んでいかなければ…)

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