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人気だから食わず嫌いしてた【推しの子】が強烈だった

【推しの子】との再会

「【推しの子】」読みました!
一言目に、「面白かった!」と言いましょう!
やー、人気が出た作品は裏切りませんね!
人気の出始めに 1話を読んだのですが、幸せを疑似体験する転生モノだと思って、アニメも見ませんでした。
でも 2期が始まるというのでジャンプ+で 2話以降を読み始めてみたら、アイすぐ死ぬし! え、本筋は復讐だったの!? それを芸能界のリアリティある描写がたっぷりと肉付けして、さらにアクアの顔がいい! コマのはしっこに立ってるだけで目を引かれるキャラっていますよね!! 見た目も性格もひっくるめた、そこまで読んできたお蔭で知っているキャラの人格すべてが存在感を放ちます!

絵の強さ

そして、絵が強い!
何話だったか、 目のアップで「眩しい!」と目を細めてしまったカットがあります。ページのいちばん下のコマで、おそらくルビーだったと思いますが、記憶に刻まれたのはひとえにその眩しさです。
解剖すれば、目を中心に光が拡散する絶妙な形で、白がふんだんに使われたのかな、と、絵の経験はないながら思いますが、そのコマだけ画面の光量が強いとかありえないのに、すごいなあ、と、もう放心します。

アプリに適した大きさ

それから、スマホの大きさでも読みやすいです! 推しの子は紙の雑誌で連載されていると思いますが、雑誌よりコミックスより小さいスマホの画面でも、文字が潰れたり、小さいものを読むストレスが生じたりしません。
受験期に、過去問を本番より小さく印刷して、文字が小さいぶん負荷をかける、という訓練法を聞いたことがあります。
推しの子は、物語を楽しむことにおけるノイズを事前に回避しているみたいです。

物語の手触り

それから、物語が、多数の前に差し出されている、と思いました。みんなで読むことを引き受けている、というか。家族が揃った食卓でも、気恥ずかしくなったりすることなく観られます。作者の顔がほとんど見えなくて、工業製品みたいです。
私は作者の体温を感じられたり作者・作品と一対一になったりする作品を好むきらいがあって、なんか作品と作者に踊らされてるなと推しの子では心の中腹でひらりと思ったのですが、その感じを無視するほど、楽しかったです。一気に読んで、最新話に到達したときは早さに驚き、このあと何のマンガを読めばいいのか分からなくなりました。中毒性があって、その感じがアイドリッシュセブンに似ていると思いました。
読者をしっかりと引き連れる手腕に、静かに感動しました。

表現の熱

ストーリーのどの部分が自分の琴線に触れたのか、考えたらすぐに思い出しました。
表現です。
アニメでいま描かれている東京ブレイド編で顕著ですが、役者も脚本も漫画家も、みんな熱くて、お芝居や制作が大好きで、努力してきていて、読んでいるうちにわたしの中のマグマが蠢き出す、そういうものが描かれていることが、楽しかったいちばんの理由だと思います。
つくる人のマンガが好きなんですね、ブルーピリオドとか、海が走るエンドロールとか、それからガラスの仮面とか、続きが読めなくなってしまったアクタージュとか。わたしもやりたい、登りたい、辿り着きたい、と、思うことができるから。つくる人の中に、擬似的でも、自分を置くことができるから。自分を表現者だと思うことができるから……。つくる側だと……。実際、何もつくってないんですけど……。うわ、ネガティブルートに入りそう、でも強烈な物語のお蔭でまたしばらく生きていけます。


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