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二種類の冬

札幌の冬の夜には二種類あり、一つは吹雪で景色が悪いとき。もう一つは景色が見えるが厚い雲が赤く輝いているとき。
雲が赤く輝いているのは、街の明かりが反射しているからで、この街に多くの人が暮らしている呼吸を感じて好きだ。
ベランダから見える街並みと雲の赤い明かり、冷たさがぴりりと肌をさする。
この街を選び、この街で過ごす人がたくさんいれば素敵だな、なんて考えたりする。

昨晩は、もう一つの顔を見せていた。
雪が降り、その一つ一つが大きく沢山舞う。近くの山は見えず、街は静かだ。
車が数台そばを通るがその音は全く聞こえない。
テールランプがゆっくりと進むばかりである。
寝静まっているというより、この街に住む人たちがいなくなったような感覚だ。
もしも世界に自分一人だけしか存在しなかったら、と小さい頃から考えてしまうありきたりなSF話にストーリーが進む。前回はご都合主義にも一人となってもライフラインは生きているという設定が生まれた。今回は高層ビルの最上階の空き部屋を借りて、この静けさを味わおう。寒さを寂しさも感じないでただ、雪と自分との対話を楽しむのも悪くない。
たまに叫んでみたりして、こだましないことをおかしく感じたりして。

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