燐葉

フリースクールに通っている中学生男子

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マガジン

  • フリースクール活動日記

    僕の通っているフリースクールでの活動記録をまとめた 12月11日に其の一、二統合 2023年3月から

  • 自作小説短編集

    自作の短編小説を纏めた。

  • 奥多摩珊瑚荘活動記録

    フリースクールなどによる奥多摩での活動記録

  • 解剖等種々の活動記録

    冬に行った解剖教室など、さまざまな活動をまとめてある

  • 読書旅行

    読書に関する旅行の記録

最近の記事

禍福は糾える縄の如し 2024/04/19

 一日のうちに船二隻を見学し、帰宅後僕はさっそく活動記録にとりかかろうとしていた。台所には母が立っており、父は今まさに風呂から上がり、着替えたうえで1週間の疲れを酒を少々飲むことで解消しようとしていた。  そうして僕が活動記録を打ち出したまさにその時、その後ろから「うわあっ」という何とも間の抜けたような声と共に奔流が迫ってくるのが見えた。なぜ後ろのことが分かったかといえば、その声の持つ深刻な響きに思わず手を止めて振り返ってしまったからだが。いったい何なのだろう。何か、事故でも

    • フリースクール活動日記 2024/04/19-横浜

       この日。JR南武線、宇都宮線、湘南新宿ライン、京王線、都営新宿線などが一斉に遅延。その影響で皆が横浜駅へ集るのは予定を30分ほど超過した11時になってからのことだった。  横浜へは毎年1,2回は必ず訪れる。横浜の中華街・上野の国立科学博物館や国立博物館・深大寺・川越などは皆このフリースクールでは年に1回は必ず通う場所である(ではあるが、川越へはここ1年行っていない。蚊が出てくる前に行きたいのだが)。それらと並ぶこの横浜は、毎年毎年メンバーの反応が真っ二つに割れるといっても過

      • フリースクール活動日記 2024/04/12-生田緑地

         この日も家を出ようと道のりを調べていたときのこと。集合場所である向ヶ丘遊園駅までそれほどの距離がないことが確認された。かなり道が蛇行していたり、橋を渡らなければならないなどの理由で距離は直線距離よりもはるかに長いものの7㎞弱(橋を渡らずともたどり着くことはできるのだが、渡ったほうが道の都合上より早くつくことができるのだ)。何を想ったか僕は「行ける」と考えてしまった。すでに昨日家から教室まで道に迷いながらも10㎞弱を無事たどり着き、なおかつ筋肉痛らしきものがほとんど感じられな

        • フリースクール活動日記 2024/04/05-小金井

           新学期最初の活動で、なおかつ毎週木曜だった「お出かけ探検活動」が金曜日に変更されて最初の活動でもあるこの日、行き先は小金井公園と決定された。丁度近所の桜も咲き始め、当日ごろには満開であろうと予想されたためである。  そういうわけで半分は小金井公園の桜を見るため、また半分は前々から提案だけはされていた「江戸東京たてもの園」へと行くためである。前日の時点で「フリースクールの教師がその小・中・高校生を連れてくる」教育活動として認められるか打診をしていたそうなのだが、結果が出ぬまま

        禍福は糾える縄の如し 2024/04/19

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        • フリースクール活動日記
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        • 自作小説短編集
          6本
        • 奥多摩珊瑚荘活動記録
          22本
        • 解剖等種々の活動記録
          9本
        • 読書旅行
          6本
        • 帯状疱疹記録
          8本

        記事

          てっぱく鉄道の昼

          「さあて、みなさんはそういうふうに空想の産物だといわれたり、岩手に実在するものだといわれたりしてきたこの黒く四角いものがほんとうは何か知っていますか。」  先生は、教室の中央につるされている大きな写真の、ちょうど真ん中にあるものを指しながらみんなに問いかけた後、ぐるりと顔をめぐらしました。  Oが真っ先に手を挙げ、次いでEやK、Rも相次いで手を上げました。それに対抗して手を上げようとしたものの、僕はそれをすんでのところで止めました。僕は、ずっと昔にそれをテレビで見たことがあっ

          てっぱく鉄道の昼

          フリースクール活動日記 2024/03/28-大宮

           昨日とある行事があったために1日休み、そのうえで年度最終である今回の活動に参加することとなった。目的地は大宮の鉄道博物館とすでに内定している。正直言って今回の企画にはあまり興味がなかった。鉄道や電車には興味のかけらも持ち合わせていないし、なぜか鉄道唱歌は知っているがそれも一部しか歌うことができない(なぜ知っているのかと問われると一瞬自分でも何故だかわからなくなるが、おそらく内田百閒の「阿呆列車」からだろう)。具体的には序盤も序盤、「汽笛一声」から「月を旅路の友として」まで。

          フリースクール活動日記 2024/03/28-大宮

          吉村昭書斎開館記念講演会に行ってきた。やはり未成年は僕だけしかいなかったものの、比較的若い人が右前の方にいたため孤独だとは思わなかったのだが後で知ったところその人たちは記者だったそうな…純粋に興味を持って講演会に来た若者は僕だけ…この講演会はとてもよかった。字数が足りず詳細は不可

          吉村昭書斎開館記念講演会に行ってきた。やはり未成年は僕だけしかいなかったものの、比較的若い人が右前の方にいたため孤独だとは思わなかったのだが後で知ったところその人たちは記者だったそうな…純粋に興味を持って講演会に来た若者は僕だけ…この講演会はとてもよかった。字数が足りず詳細は不可

          フリースクール活動日記 2024/03/21-西荻窪

           今回は旧教室のあった場所を訪れてみたいという皆の欲望が叶うはこびとなった。けれどもそれだけでは面白くない。ついでにこれまで楽しく利用した公園などをも巡ることになる。今は懐かしいどんぐり公園、いもむし公園など(これらはあくまで僕たちの付けた別称であるため、こんな名前の公園は近くにはない)…これらを巡って遊び、最後に教室跡を見て西荻窪駅で解散、というのが当日の運びとなった。  8時ごろにあったという地震の影響かいくつかの電車が遅れていたようだ。若干遅れて着くとそこに警察官が立っ

          フリースクール活動日記 2024/03/21-西荻窪

          フリースクール活動日記 2024/03/15-奥多摩

           起床時間がいつもよりも遅かったのは覚えている。昨日まさしく大怪獣の如きイマンモの鼾を般若心経で撃退したまではよかったのだが、その準備に時間をかけすぎたために睡眠時間が足りていなかったのだろう。もう一度寝ようと目をつぶってみたり、それができないとわかってからもしばらく名残惜しげに寝袋であたりを這いずりまわったりもしたが、そのうちに気温もだんだんに上がってきたためついに寝袋を脱ぎ捨てて、朝食の場を整えることに専念する。  朝食にはパン、サツマイモ、卵などが予定されていたものの寝

          フリースクール活動日記 2024/03/15-奥多摩

          フリースクール活動日記 2024/03/14-奥多摩

           この日、奥多摩古民家に集合したのは10名。いつもよりも若干多いのは今回がいつもとは一味違った活動であるからだ。  きっかけは、ささいなこと。ずいぶんと前からヨッシーたちの要望によって1泊2日程度の少し遠出の活動をすることが決定していた。もっとも金額や日程の調整などが難しかったため結局それは果たされないまま終わってしまっていたのだが。その代替案として、奥多摩古民家に1泊する案が出てきたのだ。ここであれば、宿泊費は安く済むし旅費もそれほどかからない。決定したのがかなりギリギリで

          フリースクール活動日記 2024/03/14-奥多摩

          狂言鑑賞 2024/03/07-調布

           この日、深大寺から帰ってきて蕎麦と山菜を置いた後にまた家を出た。もちろんズボン、靴下、靴などは全て取り換えたのだが、それでも体の冷えだけはどうしようもなくあとあと苦労することになる。  行き先は、調布。いったん家に帰るのではなく深大寺からバスで直接調布に向かっても良かったのだが、万が一蕎麦が傷んでしまったらということを考えて前日の時点でその考えは打ち捨てていた。それに川に落ちてしまったこともそれに拍車をかけていたため、これで調布に直接行くという考えはなくなった。  若干長い

          狂言鑑賞 2024/03/07-調布

          フリースクール活動日記 2024/03/07-深大寺

           この日もいつものように準備をして出発する。多摩駅集合ということなのだが少し欲を出し(電車賃を出し惜しみ)、西武線へと乗り換えることなしにひたすら歩くことを自らに課して1時間と40分ほど。ようやく集合場所に到着した。カッパくんやχαοσらが突撃してくるのを避けることもできずに疲労困憊の極みへと到達していたために一時はどうなるかと途方にくれたものだった。  いつもであれば、このあとには「そう途方に暮れていたが、幸いなことに危惧したようなことは起こらなかった」とでも書くだろうが、

          フリースクール活動日記 2024/03/07-深大寺

          吉村昭書斎 2024/03/09-井の頭公園

           当初は昨年11月開館を予定されていた「吉村昭書斎」。実はその更に前には18年度に開館する予定すらあったという。けれどもそれは延長され続け、このままではいつまでたっても開館しないのではないかと疑っていたのだが、ここにきてようやく開館が決定したとの情報を入手した。  3月9日に開館するというので、できればその日に行きたいと思っていたところ、ちょうどその日に吉祥寺に出る用事があることを思い出した。ちょうどいいと思い、井の頭公園駅まで先に行くことになった。  すでに建設中に一度様子

          吉村昭書斎 2024/03/09-井の頭公園

          フリースクール活動日記 2024/02/29-奥多摩

           今回の餃子パーティーという名前は、いっそ不吉なる響きを持って皆に受け入れられていた。それは、昨年行われた奥多摩餃子パーティーにてとてつもない障害が立ちふさがったためである。  米の分量を間違えて各人が持ってきていたというどうしようもないミスによって米が生と半生のあいだという恐るべき状態へと変貌してしまったためである。その折は俯仰不屈の精神を持って、耐えて耐えて耐え抜いて……!とそのまま食うことになったのだが、さすがに2度も同じことになるのは縁起でもない。  そして翌日。立川

          フリースクール活動日記 2024/02/29-奥多摩

          僕はそんなに怪しいか! 2024/03/01

           今日、フリースクールへ向かう途上のこと。最寄り駅で降りてエスカレーターを下っているとき、不意に横から声をかけられた。振り向くと、駅の構内にいた警官二人。普段あまり見かけないので不審に思ってぶしつけにもじろじろと眺めていたからなのか。 「すいません、少し時間をいただけますか?」  この声を受けて真っ先に思ったことは「僕はそんなに怪しいのか」ということだったのだが…… 「どこに住んでいるんですか?」 「〇〇〇〇です」 「いま何歳ですか?」 「14です」 「え?14?そうですか…

          僕はそんなに怪しいか! 2024/03/01

          映画鑑賞「紅の豚」 2024/02/17-調布

           この日、調布市で「紅の豚」が上映されるためそれを見にいくことになった。調布にはここのところ深大寺に行ったり市民会館でサイレント映画を見たりと縁が深い。  朝8時50分開演というところが玉に瑕だが、それでも大画面で紅の豚が見られるのであれば得だろう。そう思ってはいたのだが、それでもぬくぬくと布団にくるまっていたところをたたき起こされて若干不機嫌になりながら準備を始めるとなると、到底時間が足りない。  仕方がないので父に車を出してもらうことにし、急いで仕度をして開演前に無事到着

          映画鑑賞「紅の豚」 2024/02/17-調布