見出し画像

狂言鑑賞 2024/03/07-調布

 この日、深大寺から帰ってきて蕎麦と山菜を置いた後にまた家を出た。もちろんズボン、靴下、靴などは全て取り換えたのだが、それでも体の冷えだけはどうしようもなくあとあと苦労することになる。
 行き先は、調布。いったん家に帰るのではなく深大寺からバスで直接調布に向かっても良かったのだが、万が一蕎麦が傷んでしまったらということを考えて前日の時点でその考えは打ち捨てていた。それに川に落ちてしまったこともそれに拍車をかけていたため、これで調布に直接行くという考えはなくなった。
 若干長い前置きだったが、なぜ僕が調布に行きたいかということについて語ろう。この日、調布市グリーンホールにて野村萬斎たちによる「野村萬斎 狂言の夕べ」というイベントがある。調布には親しみが強く(井の頭公園周辺と同じくらい)、18時開場20時ごろ終幕というような予定にもそこまで抵抗はなかった。
 そうして迎えた当日はいろいろとハプニングも多かったがなんとか開演までに現地に到達、最初から最後まで見ることができた。
 今回上演されたのは刀を取り上げた昆布売りが大名に言うことを聞かせる下克上の「昆布売」、刀を竹光と掏りかえられた太郎冠者が刀が竹光へと成りあがったと勘違いしてしまう「成上り」、そして「二人袴」の3作品。個人的にはこの「二人袴」が一番面白く感じられた。
 野村萬斎演ずる(婿の)「親」とその息子の野村祐基が演じる「婿」の二人で正装の袴を使いまわす物語だ。
 舞台は婿入り(結婚の後、妻の実家に初めて挨拶に行くこと)。一人ではとても行けないと婿が自分の父親を連れて妻の親の元へとやってくる。その場で婿の父親は帰ろうとするが、それを目ざとく見つけた太郎冠者が呼び止め、妻の父親(以降舅)にそれが伝わり一緒に招かれてしまう。けれども困ったことに、正装である「袴」は婿しか着てきていない。どうにかしようと策を巡らし、太郎冠者たちとの駆け引きがとても面白い作品だった。
 夜も8時を回るころ。帰宅途中はとても寒かったが、気合で乗り切り家へ。風呂にじっくりと浸かり、夕食には蕎麦を食べた。この日採ってきた菜の花も天ぷらにして食べる予定だったのだが、この日には天ぷらの用意が難しく、それでも新鮮なうちに食べたいという要望があったため、母に頼んで菜の花を卵と一緒に炒めたものを作ってもらうことができた。

 野川、深大寺といえば最近水難が多い(水たまりに滑って転倒し、今回は川に落ちた)ためかなり慎重を期しているのだが、それでも蕎麦は旨いし近いためまたいずれは行くことになるだろう。その時にまた落ちないよう願っている。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?