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140字小説をマンガにしてみました

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140字小説をマンガにしてみました
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あめじろう
あめじろう

あめじろう

光

足元も見えない暗闇で、僕は転んでしまった。立ち上がる気力もない。見上げた夜空は雲で覆われ、光一つ見えなかった。夜空に向かって大きくため息を吐く。すると雲が流れ、切れ間から星が一つ姿を現した。暗闇に現れた、たった一つの光。触れたくなった僕は、再び立ち上がる。
あめじろう

あめじろう

湯気

ため息は白い湯気となって空に消えた。僕のそばを笑顔で走り抜ける子供達。吐き出されるのはため息ではないのに、同じように白い湯気となって空に消えていく。寒い空の下では温かさは湯気になる。僕はもう一度、大きく息を吐いた。ため息ではなく、かじかんだ手を温めるために。
あめじろう

あめじろう

ケトルが鳴るよ

簡単に傷つかないように、僕はあえて心を凍てつかせていた。家に帰ると、凍てついた心を解凍する為に、ケトルで湯を沸かす。あの時も、あの時も、僕がすべきだったこと。思い出すたび、凍てついた心にひびが入る。早く、あたたかい飲み物が欲しい。遠くでケトルが鳴っている。
あめじろう

あめじろう

臆病な僕とストーブと

僕は今日も臆病だった。笑いたくもないのに笑って、間違いを正すことも出来なかった。そんな後悔を背負い帰った我が家。ストーブをつけると、僕の背中の後悔は蒸発して行く。自然と、僕は大好きな人達の幸せを祈っていた。これで、僕が強くなれるわけではないと知っているけど。
あめじろう

あめじろう

真夜中のブランコ

真夜中、僕はブランコに乗っていた。見上げた夜空は雲で覆われ、星ひとつ見えない。僕を照らす光などないのだと、夜空に向かってため息をつく。すると、雲の切れ間から月が顔を出した。頬を優しく撫でてくれる月明かり。あの月に近づきたい。僕はブランコを思いっきり漕いだ。
あめじろう

あめじろう

秋になりました

秋になりました。鮮やかに色づいた木の葉は、秋風に乗って旅立ちます。葉を失くした木は寂しそうですが、枝の隙間からは青空がよく見えます。ガラスのように透明な青空。長い時間見惚れていると、僕の手は秋風で冷たくなります。誰かと手を繋ぎたい、そんな季節になりました。
あめじろう

あめじろう

月夜のポスト

君に手紙を書く。伝えたいことは山ほどあるはずなのに、素っ気ない内容だ。月夜、手紙を投函しに行く。スポットライトのような月明かりの中で、ポストは僕を待ち構えていた。手紙を滑り込ませた投函口。隙間から月の光も侵入する。もうすぐ君に、月光にまみれた手紙が届くだろう。
あめじろう

あめじろう

落ち葉の足音

落ち葉を踏むと音が鳴る。冷たい風に吹き飛ばされそうだった僕の足元で。雑音ばかりの世界では小さな声はかき消されてしまう。暗闇をほのかに照らす光だったとしても。色鮮やかな落ち葉を踏みしめながら確信する。葉の足音だけが響くこの静かな森では、僕は確かに存在している。
あめじろう

あめじろう

夜空に傷

夜空に傷。何気なく見上げた夜空に、剃刀で引っ掻いたような傷が浮かんだのだ。たちまち消え去ったそれは、流星の軌跡であった。僕は安堵しながらも、夜空に傷跡を探してしまう。他の星々は、何事もなかったかのように瞬き、月は、忘れてしまいなさいと優しい光で僕を包み込む。
あめじろう

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夏らしいこと

スイカの果汁のような夕陽に、僕は乾杯する。手にしているのは瓶のラムネだ。半分ほど飲み、残り少ない夏を思う。とにかく余裕がなかった。せめて一つくらい夏らしいことがしたい。それがラムネだった。ラムネ瓶の水滴が夕陽で輝いている。覗き込むと理想の夏がそこにあった。
あめじろう

あめじろう

声がなくてよかった

誹謗、非難、侮辱、嘲笑、罵倒、悪意のある雑音ばかりだ。僕は耳を塞ぐしかなかった。だから美しい声さえも聴くことが出来ない。静まりかえった真夜中なら、耳を塞がなくてもいい。夜空には星が瞬き、涙のような光が降ってきて、僕の傷を癒してくれた。星に声がなくてよかった。
あめじろう

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カレーはヒーロー

野菜スープの味がいまいちだったのでカレーにした。冷蔵庫の余った食材を整理するためにカレーにした。何を作ればいいのか迷ったのでカレーにした。困った時に助けてくれるのがカレーだ。あの時、泣きながら食べたカレーも僕を元気にしてくれた。カレーは僕のヒーローである。
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蝉時雨

蝉時雨が降り注ぐ森。枝の隙間から零れ落ちる光は、道標のように続いている。蝉の声はあまりにも大きく、風の音や動物達の声もかき消されるほどだ。この森全体が蝉の声に征服されている。蝉の声はさらに大きさを増し、森は震え始めた。やがて森は、この世界から引き剥がされる。
あめじろう

あめじろう

零れ落ちる夕陽

小川に漂う夕陽を両手ですくう。夕陽は指の間から溢れ落ち、水面で弾けて消えた。あの時の輝きも、手にしたのはひと時だけ。それでも輝きの記憶は、しばらく僕の進む道を照らす灯となった。再び灯が消えかけようとしている。零れ落ちるとわかっていても、僕はまた探しに行く。