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掌編小説

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2021年10月の記事一覧

焼かれる【掌編】

焼かれる【掌編】

 ずっと光の当たらない場所にいた。光は輝いていて、温かいことは知っている。だけど、私には、眩しすぎて、熱すぎる。日陰から光を眺めるだけで精一杯。光の端でもいいから少しでも触れたくて手を伸ばしては、指先が熱くなるたびに引っ込める。
 薄暗く湿っぽい場所から、溢れる光の下で笑いあう人々を眺めては羨む。どうして、あなたたちは、光の中でも平気でいられるの。私もそっち側に行きたいのに。
 ある日、気づいた。

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ある日暮れ【掌編】

ある日暮れ【掌編】

 溢れ出す朱色の光。光に飲まれ滲む窓枠。やがて消失する。崩壊する。まるで洪水のように注がれる夕陽。私の部屋に。壁に飛び散る夕陽の飛沫はシミをつくる。血しぶきみたい。永久に消えることのないシミ。
 熱い。手の甲が。押し付けられる夕陽の刻印。もう逃れることなど出来ない。やがて部屋は夕陽に満たされるだろう。私は夕陽の底に沈み溺れるのだ。
 揺れるカーテン。炎に包まれる。立ち上る火の粉。天井にぶつかり私に

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