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時間について

良い出来事は忘れやすいのに
嫌な出来事はいつまでも覚えている。

薄々答えは分かりつつも
なぜなのか、と呟いた数日後
テレビで答え合わせがあった。

危険回避のため
人間の脳はそうできているらしい。
嫌な出来事や怖い出来事を鮮明に
脳に記録するのである。

ここで、なるほど、と手を打った。
事故や自転車で転んだ瞬間など
その一瞬、スローモーションになる。

それは脳がその瞬間の情報を
事細かに記録しているからだそうだ。

ここで、じゃあ、と思う。
子供の頃から年齢をおうほどに
時間の流れが速くなっていくのは
同じ理論ではないかもしれないにしろ
同じく脳の情報処理に関係しているのではないか。

ここでさらに、ん?、と思う。
では「時間の速度」は共通概念ではない
ということなのか。

おそらく蝉は、あゝ短い人生だった
そう思って息絶えることなどないのだろう。

おそらく亀は、あゝようやっと天国へ
そう思って息絶えることもないのだろう。

蟻の一歩と人の一歩にかける時間は
各々同じ感覚なのかも知れない。

そんなことに気づいたとき
この世界と外側の隙間が捻れる感覚にくらついた。

きっとこの世界や概念は
現実でも虚構でもない何かなのだろう

そう書いて最後に下線を引き、解を終える。

この解が採点されるとしたら
何点をつけてもらえるのだろうか。

たぶんきっと納得がいくのは
「0点」だろうな。

そんな豊かな世界であってほしい。