持病

持病
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命がホンモノかニセモノかの
見分けがつけられない
そういう病気だ
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生身の命がホンモノで
描かれた命がニセモノか
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ならば
ノンフィクションもニセモノか
画面越しの命もニセモノか
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ちがう
フィクションもホンモノで
画面越しの命もホンモノだ
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上手く線引きができないのだ
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紙に書かれた「死」はニセモノで
じゃあ
「いのち」と口にすれば途端に
それもニセモノでしょう？
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人間は私は
本当の命を知っているのだろうか
その尊さの意味を知っているのだろうか
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ニセモノの死をホンモノの命と
思えてならない
私はそういう病気だ
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「命」という言葉が事実が
今この世の中を飛び交っている
それを一つずつ掴み取って
胸の中へ深く沈めていく作業は
生きるうえで非効率なのだろうか
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流れる水の粒は
一瞬で通り過ぎても
一瞬で視界から消え去っても
その先に生は続くのだ
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その想像は事実であり
フィクションではないと
私は信じていたい
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水の粒たちは
どこでどんな色でどんな風であろうとも
等しく流れている
それに理由をつけるのは人間で
それを評するのも人間だ
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私は何様だ
ただ、命を想って泣くだけでは
もうどうにもならないのに
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だけど
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もうどうにもならないから
涙は止めないでおこう。
尊い一粒一粒を
止めないことを
考えていこう。