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特別

昔、私は特別だと思っていた
失っていくものと引き換えに
神様が特別をくれると思っていた
神様が本当にいるのかは分からないけれど
きっと人は不安や心配や悲しみを
思想的カタチを手にすることで乗り越え
生きていくのだろう
暗闇に垂れる一縷の望みを幻想を
握り寄せては外へ出た
そうやって気づけばここまで来ていて
今は遠くまで光が届いている
この世界の景色を望むことと引き換えに
一縷の光は陽光に溶けていった
今ここにいる私は何者でもない
特別ではなかったことを絶望する余裕は無いのだけれど
小さくなった暗闇が少し疼くのだ
きっとあのときの私は、特別だった
未来じゃなくあの時を認めてあげられれば良かった
特別でない私は無になるのだろうか
だけど今は
この世界にちゃんと生きている
そんな気がするのだ