みーぶー

職業:建築関連&インフラ 出身:茨城県結城市 音楽はラテン、旅行は僻地好き

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最近の記事

ブラッディメアリー

 爽快な気分を求めているのではなく、からだにスパイシーな異物を入れて辛気臭さを払拭したいのかもしれない。梅雨の季節になると、何故かブラッディメアリーが飲みたくなる。  “血まみれのマリーさん”という名のそのカクテルは、氷の入ったグラスにトマトジュースとウォッカを注ぎ、塩、胡椒、タバスコ、リー&ペリン社のウスターソースを無造作に入れてかき混ぜるといったシンプルなレシピで、シェイカーを使わなくても作れてしまう手軽さから家庭でも楽しむ事ができるが、元々はHarry's Barとい

    • ヌー と King Gnu

       広すぎて空が近くに感じる。地平線まで無限に続くヌーの群れは、人間が地球の主では無い事を思い知らされているようだった。  以前、タンザニアのセレンゲティ国立公園でサファリをした時には、偶然雨季の時期にも重なり、エサの多い草原を求めてヌーが大移動をする様を見ることができた。ヌーの集団は、春から少しずつ合流して、やがて数万頭から数十万頭の巨大な群れになる習性を持っているという。  そんな風に、老若男女を巻き込み大きな群れになりたい、という思いが名前の由来だとか。King Gn

      • 革命 と エアメール

         エメラルドグリーンの美しい海に囲まれた小国は、たかだか60年前の革命によって誕生した。  キューバ革命は、1959年にフィデル·カストロ(後のカストロ議長)やチェ·ゲバラ達が、ゲリラ戦の末に米国の支配下にあったバティスタ政権を打倒し、新政権を樹立した事に始まる。カストロ政権は、社会主義宣言を行い、土地や家屋などを国が管理する事とし、莫大な米系企業の資産も接収した。  キューバ映画『低開発の記憶』は、当時の様子を克明に描かれた傑作として知られているが、革命直後には、新政権へ

        • 不惑 の ワイシャツ

           人間は1日に9,000回も決断をするらしい。これは“今日、何着て行こうか?”といった些細な事も含まれると思うが、アインシュタインのクローゼットには、日々服を選ぶ時間を浪費しなくていいように、同じジャケットが5着入っていたという。  このエピソードが好きだったのと、毎朝シャツとネクタイを選ぶのが常々苦痛だった事もあり、最近はワイシャツを買い替える時には、同じ生地、同じ形のものを6枚オーダーメイドして、1週間着まわす事にしている。殆どの色のネクタイに合わせる事ができるという点

        ブラッディメアリー

          たばこ の 王様

           『ラムセス2世』は3200年前のエジプトのファラオ(王様)であるが、この名前を冠した煙草が存在していた。昔バイト先の店長が、「日本では殆ど流通してなくて横浜と金沢でしか売ってるの見た事ないけど、ラムセス2世は旨かった」とフランス製のたばこGITANESを吸いながら話してくれた。  社会人になって聞いた記憶をたどり、横浜SOGOの輸入煙草屋に行くと、それは確かにそこに売っていた。マイルド·セブン(現メビウス)が一箱250円くらいだった時代に、ラムセス2世は一箱1,000円と

          たばこ の 王様

          世界はそれを信用と呼ぶんだ~お金 の 起源 Ⅴ~

           太古の昔より発達してきた貨幣の起源については、ある者は負債から生まれたと言い、また別の者は穀物等の余剰による産物であると解く。形や制度を変えてきた貨幣が現代においても使われつつ、仮想通貨なる終局的な流通形態を採ろうとしている。  最初の仮想通貨であるビットコイン誕生の経緯が書かれた、ナサニエル·ポッパー著『デジタル·ゴールド』では、ハイパーインフレなどが度々起きて貨幣価値が安定しない南米の国等には、政府が介在しない仮想通貨は重宝されるだろうと言っており、このような人々の為

          世界はそれを信用と呼ぶんだ~お金 の 起源 Ⅴ~

          仮想通貨 と ブロックチェーン~お金 の 起源 Ⅳ~

           2008年10月、ネット上にサトシ ナカモトと名乗る謎の人物が仮想通貨についての論文を投稿し、それを基にしたオープンソースのソフトウェアが公開された事で、従来の貨幣システムを超越した、仮想通貨“ビットコイン”が誕生する。  現在のお金は国家や中央銀行が通貨として発行し、その価値を保証しているが、仮想通貨は国家や銀行が介在する必要がないというのが大きな特徴である。  それはブロックチェーンという技術によって成り立っているのだが、坪井大輔氏の著者『WHY BLOCK CHA

          仮想通貨 と ブロックチェーン~お金 の 起源 Ⅳ~

          減価する貨幣 ~お金 の 起源 Ⅲ~

           50年前に制定された管理通貨制度が現代の経済を牽引している。人々は疑う事なく日々お金を使い生活しているが、ドイツの経済学者シルビオ·ゲゼルは著書『自然的経済秩序』(1914年)の中で、貨幣の在り方について異を唱えている。    ゲゼルは、万物の価値が時間と共に下がるのに通貨だけはそれが無い為に、金利が正当化され、資産家が金利で生活できてしまうと批判し、これを打開するために“スタンプ貨幣”という仕組みを提案した。例えば$100紙幣を所有したら、1ヶ月経過する毎に50円の印紙を

          減価する貨幣 ~お金 の 起源 Ⅲ~

          負債 と 余剰 ~お金 の 起源 Ⅱ~

           “通貨の歴史は物々交換から始まった”、という説に異論を唱える者も度々いるようである。  アメリカの人類学者ディヴィット·グレーバーは著書『負債論ー貨幣と暴力の5000年ー』の中で、物々交換が一般的であったことはなく、通貨の始まりは「負債」であると主張している。すなわち誰が誰にいくら“借り”があるかを追跡する手段として通貨が発達した、と言うのだ。かつて人々は、お互いの“借り”を頭の中で覚えているだけだったが、通貨の誕生により、貸し借りの仕組みが顔見知りでない人の間にも広がっ

          負債 と 余剰 ~お金 の 起源 Ⅱ~

          お金 の 起源

           漫画『闇金ウシジマくん』の中で、丑嶋くんは“金が全てじゃねぇが、全てに金が必要だ”と言い、喜劇王チャップリンは、人生に必要なものを“勇気と想像力と少しのお金”と言っている。私達の生活に密着しているお金とは一体何なんだろう、と思う。  昔の人が物々交換を止めて、貝殻を物品貨幣として使い始めた頃から貨幣の歴史は始まり、その後割れたり腐ったりしない金属貨幣(金貨·銀貨·銅貨)が主流とされてきた。  近世になると貿易や為替を効率的に行う為の統一化が必要とされ、19世紀から20世紀

          お金 の 起源

          スケジュール管理 の パラダイムシフト

           文房具売り場に来年の手帳が売り出されているのを見ると、年末が近づいてきたんだなと感慨深くなってくる。  手帳はQUOVADIS(クオバディス)という見開き一週間で縦時間軸タイプが好みで、毎年12月頭くらいにB5サイズの紙の部分だけを買い、知人の革職人に作成してもらった手帳カバーに収納していた。  しかしながら、来年の手帳は買わなくて済みそうである。仕事のスケジュール管理はOnTimeというシステムを使い、細かいタスクはGoogleのスプレッドシートに書き込み、プライベー

          スケジュール管理 の パラダイムシフト

          マテ壺 と ボンビージャ

           キューバ革命の英雄チェ·ゲバラが、壺のようなものからストローで何かを飲んでいる写真がとてもかっこよくて印象に残っていた。  その液体の正体はマテ茶というアルゼンチンやブラジルで飲まれているお茶であるというのは後から知った。イェルバ·マテという植物の葉を、マテ壺と呼ばれる手のひらサイズの瓢箪でできた容器に入れてから、お湯または水を注いで、ボンビージャという穴の空いた特殊な金属のストローを使って飲む。野菜の栽培が困難で肉を良く食べる地域では、嗜好品という位置づけ以上に栄養源で

          マテ壺 と ボンビージャ

          紙きれ と 予言書~アガスティアの葉 Ⅲ~

           現地語で書かれた占いの事を色々な所で話していると、元青年海外協力隊のスリランカ隊員の人に繋がった。情報は発信する所に集まるものらしい。  その人にシンハラ語で書かれた占いの原文をFAXで送る。占い独特の古典的な言葉でネイティブでも読み解くのに苦労する類いのものだと言っていたが、幸いスリランカ人の留学生も手伝ってくれたらしく、2週間くらいで解読してもらえた。  そこには、“星回りが良いから強運”とか“良い守護神がついている”という漠然としたものから、“2009年9月24日

          紙きれ と 予言書~アガスティアの葉 Ⅲ~

          占星術 と お坊さん ~アガスティアの葉 Ⅱ~

           自分の人生が書いてある葉っぱがあるという話を聞いて、スリランカの占いババの店を探しに行った。ところが「アガスティアの葉」「コロンボ」「老婆」というキーワードだけでは、100万人もいる街で探せるはずもない。  なくなくヒッカドゥアという近郊の町に宿泊すると、宿のオーナーの知人がお坊さん兼占星術師だというので、胡散臭いとは思ったがお願いすることにした。  そもそもスリランカでは、占いが生活に密着している。転職や結婚など大事な決め事は占いによることが多いらしく、その慣習を年配

          占星術 と お坊さん ~アガスティアの葉 Ⅱ~

          アガスティア の 葉

           “アガスティアの葉”という自分の未来が書いてある、不思議な椰子の葉の話を大学の先輩がしてくれた。  それは占いの一種で、先輩の友達の女性は、スリランカのコロンボという町で老婆に占ってもらったらしい。  老婆は「Yse」「No」の質問を繰り返して、大量の葉の束の中からその女性の葉を探し始めた。質問は、最初は“兄弟がいるか?”とかありきたりのものだが、だんだん“あなたの両親の名前は○○ですか?”、といったコアなものになっていくらしい。質問の度に、葉の束をアレでもないコレでもな

          アガスティア の 葉

          エシレバター と シラスボシ

             フレンチレストランなどで使われているエシレバターは、1894年にフランス中西部エシレ村で生産されるようになったという。美味ゆえに“バターの王様”と呼ばれているらしいが、普段使いには向かない高級食材で、来客など特別な事がない限り買うことはない。  そもそもバターが食用で使われ始めたのは紀元前60年頃でポルトガルが最初だという。その後、ヴァイキングやベドウィンといった移動系牧畜民族を介して、ヨーロッパ各地に広がっていったらしい。  製法は、牛乳から分離したクリームを強く攪

          エシレバター と シラスボシ