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世界はそれを信用と呼ぶんだ~お金 の 起源 Ⅴ~

 太古の昔より発達してきた貨幣の起源については、ある者は負債から生まれたと言い、また別の者は穀物等の余剰による産物であると解く。形や制度を変えてきた貨幣が現代においても使われつつ、仮想通貨なる終局的な流通形態を採ろうとしている。

 最初の仮想通貨であるビットコイン誕生の経緯が書かれた、ナサニエル·ポッパー著『デジタル·ゴールド』では、ハイパーインフレなどが度々起きて貨幣価値が安定しない南米の国等には、政府が介在しない仮想通貨は重宝されるだろうと言っており、このような人々の為になる思想には共感できるところがある。

 そこには、1万円札は何故1万円なのだろうか?という問いの答えも隠れている。日本政府をはじめ、通貨を安定させるべく日々心血を注いでいる人々がいるおかげで、千円あればランチが食べられるとか、単行本2冊買うから3千円くらいかかるな、とか考えていられる。全国民が千円は千円として、1万円は1万円として認識している。

 これがお金がお金たりえる所以だと思う。昔の貝殻貨幣も、金本位制時代の金(Gold)も、ゲゼルが提唱した“減価する貨幣”でさえも、形や制度が変わっても貨幣として存在する為に必須のものがある。

 それは「信用」である。

 今は乱高下が激しい仮想通貨も例外ではなく、安定して信用されるようになれば、法整備などの壁はあるにせよ、もっと一般的に通貨として流通するようになるだろう。

 私たちが考えないようにしても考えてしまい、労働の対価となり、生活を豊かにし、時に欲を刺激する。そんなお金には、古(いにしえ)より受け継がれてきた「信用」という名のDNAが組み込まれている。よくよく考えてみると滑稽である。

 

 

 

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