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マテ壺 と ボンビージャ

 キューバ革命の英雄チェ·ゲバラが、壺のようなものからストローで何かを飲んでいる写真がとてもかっこよくて印象に残っていた。

 その液体の正体はマテ茶というアルゼンチンやブラジルで飲まれているお茶であるというのは後から知った。イェルバ·マテという植物の葉を、マテ壺と呼ばれる手のひらサイズの瓢箪でできた容器に入れてから、お湯または水を注いで、ボンビージャという穴の空いた特殊な金属のストローを使って飲む。野菜の栽培が困難で肉を良く食べる地域では、嗜好品という位置づけ以上に栄養源であるがゆえに、“飲むサラダ”と呼ばれ重宝されていた。
 
 少し癖のある葉の苦味が個人的に好きで、ティーバッグで売っているものを時折買ってはいたが、折角なら壺で飲みたいと思っていた所、表参道に専門店があるのを発見した。もはや大都市東京で買えないものはないのでは、とか思ってしまう。

 その店はかなり本格的で、店主が南米から買い付けたという何種類かの茶葉と様々なデザインのマテ壺が置いてあった。その中から、ローストしてない茶葉とストローの先が球型のボンビージャ、モダンなシリコン製のマテ壺を購入した。

 マテ茶自体は、紅茶のように茶葉を抽出して飲むこともできるが、マテ壺とボンビージャを使って飲むと、茶葉の旨味を余すところなく味わえる気がして、とても美味しい。それが異国情緒を感じれるといった特殊効果によって増幅している事は否めないが。

 ゲバラは酒を飲まなかったと言われているが、革命に成功した日のマテ茶は、さぞや美味しかっただろうと、想像してしまう。

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