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占星術 と お坊さん ~アガスティアの葉 Ⅱ~


 自分の人生が書いてある葉っぱがあるという話を聞いて、スリランカの占いババの店を探しに行った。ところが「アガスティアの葉」「コロンボ」「老婆」というキーワードだけでは、100万人もいる街で探せるはずもない。

 なくなくヒッカドゥアという近郊の町に宿泊すると、宿のオーナーの知人がお坊さん兼占星術師だというので、胡散臭いとは思ったがお願いすることにした。

 そもそもスリランカでは、占いが生活に密着している。転職や結婚など大事な決め事は占いによることが多いらしく、その慣習を年配者ほど大切にするという。それから、伝統医学をベースにしたアーユルベーダというリラクゼーションマッサージがあるが、占星術もアーユルベーダも本物はお金を取らず善意で施すもので、8割が仏教徒であるスリランカでは、僧侶が占いを行う事が度々あるらしい。

 連れていかれたのは丸太小屋で、近所の人達が順番待ちをしていた。いよいよ自分の番になり中に通されると、オレンジ色の袈裟を着たお坊さんが、書類と本の山に囲まれて座っていた。そして、生年月日と生まれた時間から時差を引いた時間を伝える。占星術では生まれた時間が大切なのだ。
 1日待つとの事だったので、分析結果の受取は宿のオーナーにお願いした。次の日、“凄く良いことが書いてある”と言うので、その紙を見てみると、ミミズが這ったような文字が。····読めない。それはシンハラ語という現地語で書いてあったのだ。
 
 それでもその紙は自分の未来が書いてある重要書類なので、いつの日か解読できるかもしれないという淡い期待と共に、日本に持って帰る事にした。【続く】

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