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斎藤 亜衣
2021年12月29日 13:44
ベッド脇の窓辺に昨夜の残骸。飲み干したラム酒と、本と、ちょっと風邪ぎみ。
2021年11月28日 12:53
冷たい雨の朝しとしと しとしと通りにはコートにマフラー、彩の傘たち駐車場に向かうとあざやかな赤ひとつ濡れそぼる、遅秋のカケラ足を止める私に溢れて消える想いの欠片
2021年10月31日 16:48
手を伸ばしても 何も触れない 虹がうすくほどけ 灰色の風が巻き上がる 私は浮かびあがり 空へと落ちていく
2021年9月24日 22:02
人生とはそれぞれの物語だ 他人の人生には登場できても他人の人生を変えることはできないその人の見る目で物語が作られているのだから 世界は人の数だけあるのだろう だから私たちの物語はけっして交わることがない混じわることはない できるのはただそれぞれの物語をスプーンひと匙分け合うことだけ
2021年9月8日 19:35
陽炎(かぎろひ)を 追いつつ見遣る かの想い 過ぎゆく夏に 応えなどなし
2021年4月7日 09:33
お天気雨の、75秒前。密集した淡い桃色に目をやると、いつでも時間がグラリとする。ここではないどこかにすーっと吸い込まれそうになって、あわてて隙間にある小さな空を仰げば、今度は、淡い危なげな水色に吸い寄せられそうに。空の二階を一瞬だけ見たかもしれない。雨粒をよけながら走って帰る。
2020年10月28日 01:02
ワタシはヒト、であるからあなたという水の中では 生きてゆけないのですスイスイ スイスイサカナになって泳いでみようとそれでもやってはみたけれどワタシはヒト、であるからあなたという水の中で 溺れてしまいましたサカナになれたらよかったのにと焦がれつつ溺れる幸福もあるのだと息もできず 苦しみながら溺れてしまえてよかったのだと今はそんなことも思い出します身体を横にして 上へ上
2020年11月7日 17:10
碧い粒子がふりそそぐ夏の終わりの夕暮れ窓をあけて 空へ身体を差し出せば いつも何かに置き去りにされてる気がした願いや望みのできるだけ近くへとこの両の腕を伸ばしてはみるけれど心のどこかで だまされまいとする僕がいる風はこんなに胸を打つのに雲は優しく胸を突くのに 「わたしたち、遠くまで来たよね」いつか君は言ったけどまだ 泣けないんだいまだに 泣けないんだ
2020年11月18日 00:49
心の中のずっと深い深いところへ落ちていくその奥にある川面めがけて 落ちていく 明日のことがわからない明日がくるのか わからない 必要とされなかった私にそれでも時は流れているのか つなぎとめておきたかった私にそれでもまとわりつく解放感 かき集めた言葉であなたを意地悪だと言ったことどうか 静かに見逃して 空回りする思い出を胸に刻んでいっそ 清らかに 落ちていく
2020年12月29日 09:30
贈りもののように思える風景があるなにかの力で ぽん、と それは渡されたようそんな風景に ふと気づく自分がいる目に見えるものと見えないもので 世界ができているとしたらきっと どちらも大切にしたいと思う見えているものの中に 見えないものがふくまれているのに私が見ているものを あなたがそのまま感じているとは限らないそれをさみしいとは もう 思わないけれど今日もまた 私はあなたを抱き