『サカナ』
ワタシはヒト、であるから
あなたという水の中では 生きてゆけないのです
スイスイ スイスイ
サカナになって泳いでみようと
それでもやってはみたけれど
ワタシはヒト、であるから
あなたという水の中で 溺れてしまいました
サカナになれたらよかったのにと焦がれつつ
溺れる幸福もあるのだと
息もできず 苦しみながら
溺れてしまえてよかったのだと
今はそんなことも思い出します
身体を横にして 上へ上へと浮かびながら
そのようなことを 思い返します
次の朝
彼は水面にぷかりと浮かんだ 小さなサカナを見つけました
部屋に射す朝日は いつまでもキラキラと
横になったサカナの鱗を照らしていました
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