よねさく町内会

エッセイ エッセイ エッセイわ

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最近の記事

毛穴

人間は哺乳類である。 哺乳類の定義として、体が毛で覆われていることがあげられる。 つまり人間は、体が毛で覆われている生物と定義される。 体が毛で覆われているということは、毛穴がある。毛穴があるということは、人間であるということの必要条件である。 なのに、近年の人間は毛穴を隠そうとする。 毛穴が目立つ顔は醜いとされ、カバー力の強い化粧品等によって、毛穴は隠されようとする。 人間であるならば当たり前である事項が否定され、人間は皆、人間の要素から遠ざかろうとしている。目指している

    • 『鏡の中の恋』

      作曲:よねさく町内会 作詞:よねさく町内会 『鏡の中の恋』 あなたの右手に 輝くリング 鏡の中の 偽りだけど 本当のことを 隠してる 正反対の 恋心 本当は左に ついてるリング 鏡の中の 偽りならば 勘違いの 赤い糸 ハサミで切れたら 楽なのにな 長い髪が 短くなったら 二人の距離も 縮まらないかな 恋心すらも 反射する 鏡よ鏡 嘘も美しく映してね あなたと視線が 合う時間 鏡の向こうの 世界だけれど 二人の距離は 半歩以内 正反対でも 構わない あなたと視線が

      • 『君に熱中症♡』

        作曲:よねさく町内会 作詞:よねさく町内会 揺れないカーテンがじれったい 香るよ今夜も熱帯夜 寝れない月夜がもどかしい 膝の裏にはナイアガラ ひたつくシャツが身体覆う 愛しいかのように私にフィット 近づく程 不快になるのは 人との距離もまた然り 焦らないで 汗かいて 緊張は 恋愛のアセット(あつーい!) 手を繋がないで!(手汗かいてるから) 見つめないで!(脂浮いてるから) 抱きしめないで!(全体的に湿ってるから) 絞らないで!(出汁が出るから) 突き刺さる恋の日差し

        • 愛す

          道路が黄色だったりレンガ色だったり、明るくてカジュアルな色合いだったら良いのになと思う。ヨーロッパの街並みのように。 今日みたいに空が白い日は、アスファルトに反射した光が、灰色となって視界に飛び込んでくる。彩度や色素を失った景色が、僕の感情もぼやかしていくような気がしていた。 グレーな話、とはよく言うが、グレーとは曖昧な色なのであろう。そんな当たり障りの無い、良くも悪くも無い色で、街の色が濁って染まっているような感覚に陥った。 視覚情報と言うのは人間の得る感覚の8割を占め

          寂しさで死ぬのはうさぎだけじゃない

          僕は誰かと一緒じゃないと生きていけないです。そう強く思うのは、ひとりで生きていく選択肢が見えて来てからでした。 必然的に家族の干渉があった実家暮らし時代。学校に行けば大勢の友達。ほぼ毎日遅くまで部活。むしろ、寂しさを感じる余裕も無く過ごしていました。 転機は高校時代。野球部を辞めたときに、自分の居場所が突然無くなったことを痛感しました。学校に居ても、自分だけ隔離された空間に居るような感覚。野球部の友達とも疎遠になり、他の友達が接しづらそうにしてるのも感じました。伸びていく

          寂しさで死ぬのはうさぎだけじゃない

          病名がつくのか

          例えるならピーク時の飲食店バイトのハラハラがずっと続くようなそんな気持ちだ。 作業を止めてしまえばすぐさま地に落ちてしまうような、そんな危機感を抱きながら、増え続けていくタスクをこなしていく毎日。 こんな様相を“自転車操業”と喩えた人はなんともハイセンスだなとひしひし感じる。 自転車は漕ぎ続けないと倒れてしまうもんなーそうだよなーー。 僕は世に言う大企業の一つに勤めている。最大手企業ではないが、会社法の定めるところの大企業を定義を満たしているので、客観的な根拠はある。家族の

          病名がつくのか

          親切とは親を切ると書く

           少し難しい話をしようと思う。  上手く言語化できない感情の話だ。  今日、私は人生をサボるためにゲームセンターへ行っていた。  UFOキャッチャーと言う、店舗側が機械に無作為に乱数を定め、実力勝負のように見せて実はアームの強さが強いパターンと弱いパターンを用意し、時折成功体験を覚えさせることで人間を射幸心の沼に引きずり込む悪魔のゲームへ興じていた。  500円硬貨を当該機器の幅2mm程の投入口へ投げ捨てた。こうすることで、店舗側が以下略のアームの操作が6回可能となる。私

          親切とは親を切ると書く

          免疫エキセントリック

           今私は発熱している。厳密に言うと、平熱よりも2.0℃程高い体温を示している。発熱してから今は二日目である。 こんな時に文章を書いたら、さぞかし人間の限界に近い文章が書けるのではないかと一念発起し、筆をとることとした。  そもそも何故風邪を引くと体温が上がるのだろうか?答えは一般常識として大衆に知れ渡っている。体内に免疫細胞と言うものが存在し、体温をあげてそれらを活性化させることで、外部から侵入し増殖したウイルスを撃退しているのだと言う。体温は大脳視床下部が定めており、敵の

          免疫エキセントリック

          生まれたからには

          「人生で成し遂げたいことはあるか?」 普段生活する中ではそんなのいちいち考えないが 仕事で行き詰まった時などにふと考えたりする。 そもそもこんなテーマで悶々と考え込むこと自体が中二臭いし、自分は漫画の中の主人公にでもなったつもりなのだろうか? そういや幼い自分は、大人になったら大衆にとっての何者かになりたいと思っていた。 一度きりの人生、他人に強い影響を及ぼす人物に成り上がりたいと思っていた。 少なくとも中学生ぐらいまではそんな情熱に燃えていた気がするが、 気がつけば自

          生まれたからには

          シンクロナイズドライフ

          今や芸能人は、パフォーマンスよりもその人間性が評価されるようになった。 「みんなが大好きなあの人が、みんなが大好きであることを言ってくれる」 今般の芸能界では、そんな期待に応える行動を重ねないと、ノーダメージで生き延びることは難しい。 ましてやこのSNS社会。一生会えないはずの大好きなあの人と、信じられないぐらい身近に触れ合うことができる。対象との精神的な距離が是正されていったいま、テレビや雑誌の上だけでは無く、道では、お店では、自宅では何をして、どんな生活を送っている

          シンクロナイズドライフ

          イップス

          僕は高校球児の時、イップスになった。 大好きだった野球を、7年目で辞めた。 ストレスなんてものは、人間が自己防衛のために都合よく作り出した“概念”だと思っていたが、 細菌やウイルスと同じように、確かにこの世に“有る”ものなんだと痛感した。 肘や肩を壊すのと同じく、心を壊した僕が15m先の相手を狙って投げた球は、いつも頭上3mを上を通過していった。 イップスというものは、スポーツだけじゃなく、私生活にもその影を潜めている。 ゼミでプレゼンをして、講習の面前で教授にボコボコ

          四則演算

           誕生日って引き算じゃないか?  そう思ったのは齢24歳の誕生日を迎えた時だった。24回目にしてやっと新しいことに気がつくこともあるのだから、何事も何回か経験しておくべきなんだなとつくづく思う。  誕生日を迎えると、人々は「おめでとう」を伝えてくれる。確かに、この世に生誕すると言う奇跡が発生してから、なんだかんだで24年間も生き永らえているんだから、紆余曲折あれどそれなりの奇跡は持続していると思う。祝われて然るべきであろう。  だがむしろ、24年間もこうしてこの世にしが