雨月そら

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【小説】前書き おっさんえんでんべぇで再生か?

埼玉県秩父市出身、在住の雨月そらと申します。 地元の話を書きたいと思い、書き始めました。 この話が秩父を知るきっかけになればというのと、この小説がいつかアニメになったらいいなという密かな思惑を込めて。 そして、秩父でアニメ制作ができるのか?というチャレンジ精神で試みています。 内容的には秩父をより住みやすい街にするためにはどういう開発をしていけばいいのかという地方開発再生化をテーマに、最初は疲れきった40歳のおじさんが地元で奮闘しながら頑張っていく話を書いていきます。 この

    • 【小説】第十三話 おっさんえんでんべぇで再生か?

      13.お米騒動  一晩明けてやる気に火が付いた七海はいつも誰よりも遅く起きてきていたのに、今日に限っては一番早く起きていた。  昨日雨月に打ちのめされたが、帰って冷静になれば歳が近いというのもあって逆に対抗心に火が付いて内なる炎がメラメラ燃えていたのである。  大夢とメニューの試作をしてから新しいメニューの切り替えをしようという話になったのだが、それが待ち遠しくて子供が遠足が待ち切れないみたいに年甲斐もなくはしゃいだ気持ちになっていて、最近はだらしなさが身について二度寝三度

      • 【小説】第十二話 おっさんえんでんべぇで再生か?

        12.雨月という人  大夢の勢いで雨月の家に行き、現在は雨月の自室兼仕事部屋にいた。現在大人四人が雨月の後で正座させられている。  重い空気の中、作業机に置かれた林檎のマークがトレードのノートパソコンに向き合ってる雨月が奏でるカタカタカタというキーボードの音がやけに響く。沈黙がますます重たい空気となって、キーボードの音がどこか責めたてられているようで落ち着かない。  何故そんなことになっているかといえば、大夢のせいである。  雨月の家は確かに歩いてすぐのところにあって、

        • 【小説】第十一話 おっさんえんでんべぇで再生か?

          11.反省会  川瀬祭も無事に乗り切った七海達であったが、店の宣伝不足で人が午前中は来なかったことや在庫切れなど反省点は多々あって、大夢の家へと招かれたというのもあり、反省会をまずすることとなった。  大夢の家は古民家の近くにあって、家そのものは北欧風の暖炉のある広々とした平家であった。  流石に夏なので暖炉は使っていないようだが、広間には大きな窓がありその向こうは縁側で、その先が庭なのだろうが半分が屋根付テラスでバーベキューができるバーベキューグリルが置いてあり、半分は

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        【小説】前書き おっさんえんでんべぇで再生か?

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        • おっさんえんでんべぇ再生か?
          6本
        • 吾、猫になる(児童小説)
          10本
        • 狂喜乱舞
          0本

        記事

          【小説】十話 おっさんえんでんべぇで再生か?

          10.川瀬祭  駅前の店の準備が終わり、古民家へ行ってから七海は大夢と話が合い、一気に意気投合した。お互い気さくなのもあて、昔からの友達かというほどに仲良くなっていた。  七海と大夢は根が真面目というのもあり、祭の準備もそこそこに青年団や秩父の現状を話し出すと深刻な顔してうーん、うーんと困ったように二人で唸りだし、そうと思えば今後はこうするのはどうかと意見交換し始める、まるで子供みたいに目を光らせ話が盛り上がる。  二人はどちらかといえば笑わないと強面な顔つきでしかも猫背で

          【小説】十話 おっさんえんでんべぇで再生か?

          【小説】九話 おっさんえんでんべぇで再生か?

          9.店のコンセプト  食べ終えて、静かな状態が続いた。まったりした空気が漂って、七海はその感じが心地よくてうとうととしてしまう。  はっと気づいた時には横になって、薄手のブランケットが七海に掛けられていた。慌てて起き上がると、他の人達がいないことに気づく。ただ、奥の方から声が聞こえてきて、ブランケットを畳んでその場に置くと、七海は声がする方へと歩いて行った。  「あー、起きたんだベェ。よく寝てたから、寝かしてたんだんべぇ。ここへ来た時より顔色がいいからよかっただんベェ。

          【小説】九話 おっさんえんでんべぇで再生か?

          【小説】第八話 おっさんえんでんべぇで再生か?

          8.古民家と美味しいごはんの癒し  家に帰ってきた七海達は冷蔵庫にまともな食材がないことに気づき、素麺で簡単に夕飯を済ませ、各自で風呂を済ませると何故かこの家には沢山の布団があり、昔ながらの平家なので部屋数も多く、皆で手分けして布団を敷くと、七海と匠以外はそうそうに寝床に着いた。  七香と一緒に寝ると巧真はぐずって一緒に寝ることになり、布団の中へ入った途端二人は仲良く小さな寝息を立てて眠ったのだ。まるで姉弟のように、息ぴったりに。  琉偉は少し業務をこなしてからと言って、三

          【小説】第八話 おっさんえんでんべぇで再生か?

          【小説】第七話 おっさんえんでんべぇで再生か?

          7.え?ホラーですか?芋ですか?今ですか?  皆がかき氷を食べ終えて、明日の予定を話すのかと思えば手書きの地図と住所が載った名刺を渡された。ここで説明するとだけ言われて、結局詳しいことは何も聞けずに店を後にした。  「...なぁ、匠、打ち合わせするんじゃなかったのか?」  七海は困惑気味で複雑な顔をしながら、隣の匠を見る。匠の方は全く悪びることなく、澄まし顔だ。  「まぁ、そこ行けば説明するんじゃねーのか?俺は明日は用事があって一緒には行けねーから、そこにはお前が上司

          【小説】第七話 おっさんえんでんべぇで再生か?

          【小説】第六話 おっさんえんでんべぇで再生か?

          6.秩父青年団て?  匠の車に全員乗り込むと、匠の運転で車は走り出した。車は八人乗りのミニバンで、五人乗っても広々としている。  巧真は助手席で、匠にどこへ行くのか仕切りに聞いている。それが可愛らしくて微笑ましく、七海は運転席側の二列目の座席から背もたれに寄り掛かりながら眺めている。  並びとしては七海の隣は琉偉で、一番後の席の七海の真後ろに七香が座っている。気になってちらっと七香を見遣ると、ドアの方にもたれ掛かって窓の外をぼんやりと見つめている。  が、七海の視線に気づき

          【小説】第六話 おっさんえんでんべぇで再生か?

          【小説】第五話 おっさんえんでんべぇで再生か?

          5.秩父ってどんなところ?  アイスも食べ終わり、七香がアイスのゴミを巧真のビニール袋に詰め込んで掴んだ瞬間。  「あ、ダメ!これ、応募券ついてるの!」  巧真が慌てて、ビニール袋を手で押さえた。  「そうそう。新味出た記念で、巧真が持ってるフィギアが抽選で、当たるのだよ」  匠はそう言うと、七香は納得してビニール袋を巧真に返す。  「じゃ、アイスも食べ終わりましたし、部長も来て下さったので、打ち合わせしましょうか」  一度テーブルの下に仕舞ったタブレットを琉偉

          【小説】第五話 おっさんえんでんべぇで再生か?

          【小説】第四話 おっさんえんでんべぇで再生か?

          4.親子とアイス  三人は黙々と食べ、ズルズルと素麺を啜る音と氷がカランカランと涼しげに音を立てて回ってる音だけが暫く続く。  「あっ」  素麺が最後の一掬いになって、七海は小さく声を上げた。七香は素麺を取ろうとして、少し驚いたように箸を宙で止める。  「な、何?...あぁ...食べたかった?」  ちらっと七香は七海の顔を見て、少し遠慮がちに聞く。  「...違う、違う。その素麺の中に一本、ピンク色の素麺があるからさ...」  七海はふっと笑顔になって、ピンク色

          【小説】第四話 おっさんえんでんべぇで再生か?

          【小説】第三話 おっさんえんでんべぇで再生か?

          3.遅い昼食  ゴミ集めが終わると七香に急かされて七海は布団を押入れへ仕舞うと次は掃除機をかけとドンドン急かされ昼過ぎ、やっと部屋は綺麗になった。  本来、昔から使っていた自分の部屋が別にあるのだが、七海は面倒臭がって居間のテレビがある部屋で寝泊まりしていた。そこが台所とトイレに近く、玄関もガラス戸を挟んで向こう側にあり出入りしやすいからだ。  居間には長方形の木でできた長めのテーブルというか炬燵。冬場は掛け布団を掛けて使用しているが、今は夏。掛け布団はない。  横の長い

          【小説】第三話 おっさんえんでんべぇで再生か?

          【小説】第二話 おっさんえんでんべぇで再生か?

          2.ゴミと掃除と事情  現在、ゴミだらけの部屋を三人で手分けして掃除というかほぼ捨てている。  男も他の二人と同じくマスクをして七香に小姑の如く言われるがまま、缶、瓶とを分別して大きなビニール袋へとせっせと放り込んでいる。  男の部屋はほぼ酒の空き容器ばかりで、つまみの空袋と片付いていない何か食べたのだろう乾びたマヨネーズの痕跡ある空の皿が点々と置かれ、あまり健康的な食生活を送っているようには見えない。  琉偉は空袋担当でさっさとゴミ袋へ入れ終わると、七香が台所へ行った隙

          【小説】第二話 おっさんえんでんべぇで再生か?

          【小説】第一話 おっさんえんでんべぇで再生か?

          1.始まりはいつも唐突  男はカーテンが閉め切った薄暗い部屋の中で畳の上に古びた布団に敷き、それに包まってくの字になって寝ている。うーんうーんと小さいが唸り何を言っているかは聞き取れないが、何やら寝言もポツリポツリ。  「ちょっ、足の踏み場もないんですけど!!っていうかクサ!!」  「んー...男の一人暮らしの部屋なんて、こんなもんじゃない?」  「はぁ〜?なら、あなたの部屋もそうなんですか?」  「そんな馬鹿な。僕は、きっちりした性格なので、部屋は綺麗ですよ」

          【小説】第一話 おっさんえんでんべぇで再生か?

          《児童小説》 吾、猫になる 1 ようこそ、キャットストリー島11

          夢話ノ拾壱(11) おふくろさん  そらがお茶漬けを待ってる間、食堂もピークが過ぎて落ち着きを見せ、オリはいつの間にか洗い物を済ませ、エプロンで手を拭きながらそらの隣へちょこんと座る。そして、一息つくようにキッチンからメガがテコテコ歩いてきて花の隣の席に座り、そらと花は夫婦に囲まれた。  お腹が空いて何も考えずここまで来たので、そらはその時急に肩身が狭く感じて縮こまる。花は猫そのもので、食べ終わったら眠たくなったのか椅子の上でくるっと丸くなって目を伏せている。  ペンギ

          《児童小説》 吾、猫になる 1 ようこそ、キャットストリー島11

          《児童小説》 吾、猫になる 1 ようこそ、キャットストリー島10

          夢話ノ拾(10) おふくろの味  お元気三ネズミは気づくといつの間にか何処かへ消えていて、そらと花は二匹の背丈に合わせて置かれたカウンターのイスに座った。  目の前の海鮮丼に目をキラキラさせながらよだれがたれそうなゆるんだ顔で小さな前足をちょこんと合わす。  「「いただきます」」  同時に言った二匹は、海鮮丼を食べ始める。ただ、そらはお盆に乗っていた木のスプーンで器用にすくって食べるのに、花は近くの刺身を一枚歯でかんで小皿に乗せてから手は使わずに刺身をそのまま口から食べ

          《児童小説》 吾、猫になる 1 ようこそ、キャットストリー島10