雨月そら

風来坊の旅好き 小説家もどき 日常あれこれ気まぐれ日記的書き物スペース

雨月そら

風来坊の旅好き 小説家もどき 日常あれこれ気まぐれ日記的書き物スペース

マガジン

最近の記事

  • 固定された記事

【小説】前書き おっさんえんでんべぇで再生か?

埼玉県秩父市出身、在住の雨月そらと申します。 地元の話を書きたいと思い、書き始めました。 この話が秩父を知るきっかけになればというのと、この小説がいつかアニメになったらいいなという密かな思惑を込めて。 そして、秩父でアニメ制作ができるのか?というチャレンジ精神で試みています。 内容的には秩父をより住みやすい街にするためにはどういう開発をしていけばいいのかという地方開発再生化をテーマに、最初は疲れきった40歳のおじさんが地元で奮闘しながら頑張っていく話を書いていきます。 この

    • 【小説】九話 おっさんえんでんべぇで再生か?

      9.店のコンセプト  食べ終えて、静かな状態が続いた。まったりした空気が漂って、七海はその感じが心地よくてうとうととしてしまう。  はっと気づいた時には横になって、薄手のブランケットが七海に掛けられていた。慌てて起き上がると、他の人達がいないことに気づく。ただ、奥の方から声が聞こえてきて、ブランケットを畳んでその場に置くと、七海は声がする方へと歩いて行った。  「あー、起きたんだベェ。よく寝てたから、寝かしてたんだんべぇ。ここへ来た時より顔色がいいからよかっただんベェ。

      • 【小説】第八話 おっさんえんでんべぇで再生か?

        8.古民家と美味しいごはんの癒し  家に帰ってきた七海達は冷蔵庫にまともな食材がないことに気づき、素麺で簡単に夕飯を済ませ、各自で風呂を済ませると何故かこの家には沢山の布団があり、昔ながらの平家なので部屋数も多く、皆で手分けして布団を敷くと、七海と匠以外はそうそうに寝床に着いた。  七香と一緒に寝ると巧真はぐずって一緒に寝ることになり、布団の中へ入った途端二人は仲良く小さな寝息を立てて眠ったのだ。まるで姉弟のように、息ぴったりに。  琉偉は少し業務をこなしてからと言って、三

        • 【小説】第七話 おっさんえんでんべぇで再生か?

          7.え?ホラーですか?芋ですか?今ですか?  皆がかき氷を食べ終えて、明日の予定を話すのかと思えば手書きの地図と住所が載った名刺を渡された。ここで説明するとだけ言われて、結局詳しいことは何も聞けずに店を後にした。  「...なぁ、匠、打ち合わせするんじゃなかったのか?」  七海は困惑気味で複雑な顔をしながら、隣の匠を見る。匠の方は全く悪びることなく、澄まし顔だ。  「まぁ、そこ行けば説明するんじゃねーのか?俺は明日は用事があって一緒には行けねーから、そこにはお前が上司

        • 固定された記事

        【小説】前書き おっさんえんでんべぇで再生か?

        マガジン

        • おっさんえんでんべぇ再生か?
          5本
        • 吾、猫になる(児童小説)
          10本
        • 狂喜乱舞
          0本

        記事

          【小説】第六話 おっさんえんでんべぇで再生か?

          6.秩父青年団て?  匠の車に全員乗り込むと、匠の運転で車は走り出した。車は八人乗りのミニバンで、五人乗っても広々としている。  巧真は助手席で、匠にどこへ行くのか仕切りに聞いている。それが可愛らしくて微笑ましく、七海は運転席側の二列目の座席から背もたれに寄り掛かりながら眺めている。  並びとしては七海の隣は琉偉で、一番後の席の七海の真後ろに七香が座っている。気になってちらっと七香を見遣ると、ドアの方にもたれ掛かって窓の外をぼんやりと見つめている。  が、七海の視線に気づき

          【小説】第六話 おっさんえんでんべぇで再生か?

          【小説】第五話 おっさんえんでんべぇで再生か?

          5.秩父ってどんなところ?  アイスも食べ終わり、七香がアイスのゴミを巧真のビニール袋に詰め込んで掴んだ瞬間。  「あ、ダメ!これ、応募券ついてるの!」  巧真が慌てて、ビニール袋を手で押さえた。  「そうそう。新味出た記念で、巧真が持ってるフィギアが抽選で、当たるのだよ」  匠はそう言うと、七香は納得してビニール袋を巧真に返す。  「じゃ、アイスも食べ終わりましたし、部長も来て下さったので、打ち合わせしましょうか」  一度テーブルの下に仕舞ったタブレットを琉偉

          【小説】第五話 おっさんえんでんべぇで再生か?

          【小説】第四話 おっさんえんでんべぇで再生か?

          4.親子とアイス  三人は黙々と食べ、ズルズルと素麺を啜る音と氷がカランカランと涼しげに音を立てて回ってる音だけが暫く続く。  「あっ」  素麺が最後の一掬いになって、七海は小さく声を上げた。七香は素麺を取ろうとして、少し驚いたように箸を宙で止める。  「な、何?...あぁ...食べたかった?」  ちらっと七香は七海の顔を見て、少し遠慮がちに聞く。  「...違う、違う。その素麺の中に一本、ピンク色の素麺があるからさ...」  七海はふっと笑顔になって、ピンク色

          【小説】第四話 おっさんえんでんべぇで再生か?

          【小説】第三話 おっさんえんでんべぇで再生か?

          3.遅い昼食  ゴミ集めが終わると七香に急かされて七海は布団を押入れへ仕舞うと次は掃除機をかけとドンドン急かされ昼過ぎ、やっと部屋は綺麗になった。  本来、昔から使っていた自分の部屋が別にあるのだが、七海は面倒臭がって居間のテレビがある部屋で寝泊まりしていた。そこが台所とトイレに近く、玄関もガラス戸を挟んで向こう側にあり出入りしやすいからだ。  居間には長方形の木でできた長めのテーブルというか炬燵。冬場は掛け布団を掛けて使用しているが、今は夏。掛け布団はない。  横の長い

          【小説】第三話 おっさんえんでんべぇで再生か?

          【小説】第二話 おっさんえんでんべぇで再生か?

          2.ゴミと掃除と事情  現在、ゴミだらけの部屋を三人で手分けして掃除というかほぼ捨てている。  男も他の二人と同じくマスクをして七香に小姑の如く言われるがまま、缶、瓶とを分別して大きなビニール袋へとせっせと放り込んでいる。  男の部屋はほぼ酒の空き容器ばかりで、つまみの空袋と片付いていない何か食べたのだろう乾びたマヨネーズの痕跡ある空の皿が点々と置かれ、あまり健康的な食生活を送っているようには見えない。  琉偉は空袋担当でさっさとゴミ袋へ入れ終わると、七香が台所へ行った隙

          【小説】第二話 おっさんえんでんべぇで再生か?

          【小説】第一話 おっさんえんでんべぇで再生か?

          1.始まりはいつも唐突  男はカーテンが閉め切った薄暗い部屋の中で畳の上に古びた布団に敷き、それに包まってくの字になって寝ている。うーんうーんと小さいが唸り何を言っているかは聞き取れないが、何やら寝言もポツリポツリ。  「ちょっ、足の踏み場もないんですけど!!っていうかクサ!!」  「んー...男の一人暮らしの部屋なんて、こんなもんじゃない?」  「はぁ〜?なら、あなたの部屋もそうなんですか?」  「そんな馬鹿な。僕は、きっちりした性格なので、部屋は綺麗ですよ」

          【小説】第一話 おっさんえんでんべぇで再生か?

          《児童小説》 吾、猫になる 1 ようこそ、キャットストリー島11

          夢話ノ拾壱(11) おふくろさん  そらがお茶漬けを待ってる間、食堂もピークが過ぎて落ち着きを見せ、オリはいつの間にか洗い物を済ませ、エプロンで手を拭きながらそらの隣へちょこんと座る。そして、一息つくようにキッチンからメガがテコテコ歩いてきて花の隣の席に座り、そらと花は夫婦に囲まれた。  お腹が空いて何も考えずここまで来たので、そらはその時急に肩身が狭く感じて縮こまる。花は猫そのもので、食べ終わったら眠たくなったのか椅子の上でくるっと丸くなって目を伏せている。  ペンギ

          《児童小説》 吾、猫になる 1 ようこそ、キャットストリー島11

          《児童小説》 吾、猫になる 1 ようこそ、キャットストリー島10

          夢話ノ拾(10) おふくろの味  お元気三ネズミは気づくといつの間にか何処かへ消えていて、そらと花は二匹の背丈に合わせて置かれたカウンターのイスに座った。  目の前の海鮮丼に目をキラキラさせながらよだれがたれそうなゆるんだ顔で小さな前足をちょこんと合わす。  「「いただきます」」  同時に言った二匹は、海鮮丼を食べ始める。ただ、そらはお盆に乗っていた木のスプーンで器用にすくって食べるのに、花は近くの刺身を一枚歯でかんで小皿に乗せてから手は使わずに刺身をそのまま口から食べ

          《児童小説》 吾、猫になる 1 ようこそ、キャットストリー島10

          《児童小説》 吾、猫になる 1 ようこそ、キャットストリー島9

          夢話ノ玖(9) レッサーパンダとペンギン夫婦  お元気三ネズミと一緒に、そらと花は食堂の中へと入った。中もガヤガヤとにぎわって活気があって、みんな美味しそうにご飯を食べて嬉しそうで楽しそう。  一番奥のオープンキッチンからぷんぷんとただよってきた美味しそうな匂いで、我慢できないとそらのお腹の虫がぐーぐー鳴り出して、クークー合唱する様に誰かのお腹の虫も鳴き出した。  そらは恥ずかしそうに両前足でくるくるお腹を撫でながら何気なしに花を見ると、すまし顔なのにどこか恥ずかしいそうに

          《児童小説》 吾、猫になる 1 ようこそ、キャットストリー島9

          《児童小説》 吾、猫になる 1 ようこそ、キャットストリー島8

          夢話ノ捌 ぱんだ屋食堂  お元気三ネズミの自己紹介が終わり、そらは前足で拍手をして目をキラキラさせている。その隣の花は、物珍しそうに見ていた割にはおすまししている。  「おもしろいにゃね!お元気三ネズミ!これから一緒に、よろしくにゃよ!」  そらはそう言って、片方の前足をお元気三ネズミの方へ出した。お元気三ネズミはぐっと親指を立てた後、一列になってタタタっと軽快に走ると、そらへ飛び乗って、そらの肩にどっこいしょとでもいう様に腰を下ろそうとした。  オットーみたいにそらの

          《児童小説》 吾、猫になる 1 ようこそ、キャットストリー島8

          《児童小説》 吾、猫になる 1 ようこそ、キャットストリー島7

          夢話ノ漆 よろしくお元気三ネズミ、案内人  「おぉ〜お!怖いにゃんねぇ〜。でも仕方ないにゃん。この島に住むには、条件があるにゃ〜よ〜」  睨んでる花にそう言うが、オットは特には怖がってる様子はない。条件と言った時に、にやぁ〜と大きい三日月みたいな笑みが溢れ、ピンと一本だけ器用に指を立てる。  「一つ、この島で必ず働くことにゃ。ただそれだけ、実に簡単にゃ。なんでも好きな仕事を選べるにゃんから〜」  口元に片方の前足を添え、にひひっと笑うと話を締めくくる。  「なんでも

          《児童小説》 吾、猫になる 1 ようこそ、キャットストリー島7

          《児童小説》 吾、猫になる 1 ようこそ、キャットストリー島6

          夢話ノ陸 お元気三ネズミで頭スッキリ?  「で?ネコが、ネコ飼ってたにゃんか?」  そらの決めセリフなど全く興味なく、オットは大きななあくびをする。そらはフゥーーっと、怒ったように毛を立たせている。  「ネコがネコ飼えるわけにゃいにゃ!!吾は、人間で、大切な人と暮らしてて、花を飼ってたんにゃ!!!」  「ん?大切な人、人間のご主人と暮らしてた、飼いネコだったにゃか?」  「ちがーーう!!!......ん?にゃ?吾、飼いネコにゃ?ん?人間?ネコ?人間??」  あちゃ

          《児童小説》 吾、猫になる 1 ようこそ、キャットストリー島6