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『結局、ウナギは食べていいのか問題』海部健三

こんにちは、天音です。
今日7月28日は土用の丑の日。
この日によく食べられる魚、ウナギについて考えてみましょう。

というわけで今回の書籍紹介は、海部健三さんの『結局、ウナギは食べていいのか問題』(岩波科学ライブラリー)です。

●概要(裏表紙)
土用の丑ともなれば、スーパーも牛丼店も、ウナギの蒲焼きでにぎやかだ。でも、ウナギって絶滅危惧種だったはず……。結局のところ絶滅するの?土用の丑にやたらと食べるのがダメ?どんなウナギを選べばいい?──気鋭のウナギ研究者が、ややこしいウナギ事情をQ&Aで整理。ウナギという野生動物と、美味しく共存する道を探る。

皆さん、ウナギ好きですか?
私は好きです……。
子供の頃は骨っぽくて食べられなかったんですが、現在では好物になりました。
いつか鰻丼じゃなくて、お店で鰻重を食べるのが夢です。
ていうかタレが好き。
白米にあのタレがかかってるだけで幸せです。
実際焼肉もタレだけで美味しいですよね。
多分なんでもタレかけたら美味しいんだと思います。

初っ端から話が逸れました。すみません。
タレと白米の相性の話はまた今度にしましょう。

ウナギ
日本では年間約5トン消費されている美味しいお魚です。

しかし日本に生息している“ニホンウナギ”を調べてみると、環境省のレッドリストにおいては上から二番目に絶滅の危険が高い「絶滅危惧ⅠB」のカテゴリーに指定されているのです。
ちなみに台湾では最も絶滅の危険性が高い「深刻な危機」に分類されています。

また、ワシントン条約で国際的な取引を規制するかどうかも議論されています。

ニホンウナギの保護が叫ばれるようになってきているこのご時世。
食べてもいいのか。だめなのか。
食べていいならどのように付き合えばいいのか。
少しでも考えるきっかけになればと、この本を手に取りました。

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本書は、私たちが抱くような素朴な疑問に答えるQ&A方式になっています

例えば
Q ウナギはどの程度減っているのですか?
というような感じです。

読者に語りかける語調で、とてもわかりやすく回答してあります。
あまり水産、環境、流通に詳しくなくともついてこれる内容です。

私が驚いたのは、たとえ国産であっても違法な手段で不適切に捕獲・流通されているものがあるということでした。
実に国内で消費されるウナギの半分から7割が違法行為に関わっているウナギだそうです。

今までなんとなく〇〇産と書かれていたら大丈夫だと思っていたのですが、国内の漁業関係者が違法行為をしている可能性があるというのです。
それらのウナギは正規のものと混ざり合い、スーパーなどのお店で出てくる時にはほとんど識別できなくなっています。
消費者は店側が信頼できるルートで入手しているかを、きちんと見極める必要があるということです。

本書では、食べてもいいとかだめだとかいう早急な答えは出していません。

絶滅する可能性が高いから、取り返しのつかない事態になる前にきちんとみんなが対応を考えていこうと問題を提起しています。

ウナギは完全養殖での流通が現在不可能なために、養殖ウナギも自然界にいるウナギの繁殖に頼っている水産資源です。

絶滅の危機を退けるためには、
正確な捕獲量を把握すること
生息地域の環境を整えること
捕獲量に応じた制限をかけること
を達成しなくてはいけません。

これらは個人で達成できるものではありません。

しかし、ウナギの保全について正確な知識を求めること。
また、求めている姿勢を行政に訴えかけることは個人の活動でもできます。

個人個人が正確な知識を持ち、違法行為に関与していない「クリーンなウナギ」を求めることにより、行政や漁業関係者に改革を求め続けることが、ひいてはウナギ保全のために大事なことなのです。

ちなみに2021年7月に水産省がホームページで「ウナギに関する情報」というのを出しています。
わかりやすいかはイマイチわかりませんが、アクセスして“国民はウナギに興味があるんだぞ”ということを示してみてください。
リンク設定にしています。

本書を読んで、私はあまりにウナギについて知らなかったなと感じました。
私の家の近くの川にはウナギがいます。
放流しているという話は聞かないので、あれは遡ってきたウナギでしょう。
ウナギがいたということは、そこそこ綺麗な川だという証拠です。
そんなことも知らずにドジョウだと思っていました。
高級魚のイメージがあるので、あんな裏の川を悠々と泳いでいるとは思わなくて……。
先日護岸工事が終わったのですが、あれが何か影響しなければいいなと思います。

ウナギの保全で消費者にできることは限られています。
しかし、起きていることを知っているのと知らないのでは大違いです。

ウナギの生態、種類や各国の対応などとても丁寧に解説されていて、とても興味深く、またそれらに対して理解を深めながら読めました。

ウナギだけではなく、水産資源の保全に対して考えを改める契機になる本だと思います。

ウナギの未来も、私たちの美味しい未来も長く続いてほしいです。

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