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読書感想 『ちょんまげぷりん』

こんにちは、天音です。
今回の読書感想は、荒木源さんの『ちょんまげぷりん』(小学館)です。

タイトル、めっちゃズルくないですか。
表紙が素敵で手に取る本にはよく出会いますが、この本はタイトル。
まさに二度見を免れない字面。
ふらーっと本屋の棚を見ながら横歩きしていたんですが、ついつい足を止めて見入ってしまいました。

『ちょんまげぷりん』

思わず口に出してしまいたくなる語感。
秀逸だと思います……。

話は単純。
江戸時代のお侍である木島安兵衛は、現代の東京に突然タイムトラベルをしてしまいます。シングルマザーとして働いていた遊佐ひろ子は、この身寄りのない男を元の時代に変える方法が見つかるまで家に置いてあげる。その代わりに安兵衛に家事をしてもらうことになります。向上心とこだわりから、安兵衛は家事スキルをみるみる身につけ理想の主夫と呼べるほどになる。家事スキルはお菓子作りにまで及んで、とあるきっかけからテレビで引っ張りだこになるほどの才能を発揮する──。
というのが大まかなあらすじです。

私がこの作品を読んでいて、1番考えた事は「変化」です。
シングルマザーで仕事と家事、そして育児の両立に悩んでいたひろ子。訳もわからず現代にやってきて、ようやくお菓子作りでやりがいを見つけた安兵衛。仕事で忙しい母に無意識に不満を覚えている幼い息子の友也。
それぞれの考えが、物語を通して徐々に変化していきます。

それは成長としての変化です。
その成長は別れに伴い痛みも連れてきます。
物語全体はとても読みやすくて、ユーモアもあり楽しいお話です。
しかしこの痛みがほろ苦いアクセントとなっていて、まるでプリンのカラメルのようです。
主夫や働く女性などの現代社会の問題も映していて、ただのSFタイムトラベルものと断じてしまうのはもったいない作品だと思います。

話自体も新鮮で面白いものでした。
10年ほど前の作品で、映画化もされているようです。
ただこの映画は錦戸亮さんが主演だったのでこれだけが引っかかりました。錦戸くんかっこいいじゃないですか。私的に安兵衛は芋侍のイメージだったんです。そんなにかっこいいわけじゃなくて。本の表紙もそうですが、ちょっと安兵衛、美化されすぎてないです?

タイトルの感じから手軽に読めるかなと思って手に取ったんですが、いい意味で期待を裏切られました!
甘さありほろ苦さありの、まさにプリンのような作品だと思います🍮
私の気を引いてくれたおかしなタイトルに感謝です。



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