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読書感想No.38『ステップファザー・ステップ』

こんにちは、天音です。

今回の読書感想は、宮部みゆきさんの『ステップファザー・ステップ』です。

●あらすじ(Amazon)
仕事中に屋根から落ちてしまった泥棒の俺。
大ケガした俺を助けてくれたのはその家に住む中学生の双子の兄弟だ。
ところが二人に弱みを握られた俺は、家出中の両親に代わって父親となるハメに。
家庭生活を始めた俺らを襲う七つの事件。三人で謎解きを始めたが……。
魅力的な謎とユーモアあふれた会話が彩る大傑作!

小学生の頃に読んだ小説。再読です。
初めて読んだ宮部さんの本ですね。

ライトミステリの連作短編集でとても読みやすいです。

少し描写が古いところもありますが、それでも色褪せない傑作だと思います。
例えば家に電話がないことで不審がられたり、ファクシミリが登場したり。
最近は電話ない家が多いよなと、なんだか本の内容とは関係ないところでしんみりしました。

弱みを握られているために嫌々ながらも父親役を演じる俺ですが、接していくうちにだんだんと双子に絆されていきます。

双子の哲と直、そして俺の、家族として違和感があるようでないような、やっぱりあるような会話には思わず笑ってしまいました。

父親としての感覚が芽生えつつあることを自覚するたびに、なんとも言えない焦りや嫌悪を見せる“俺”。

しかし、多くの経験を共にして最後に出てくる「俺の双子」という言葉には、じんわり心に染み渡る優しさがあります。

正直言って、ミステリとしてはパンチにかけると思います。
大きな事件も起こらなければ、壮大な仕掛けもありません。
人もあんまり死にませんし。

家庭が機能しなくなった双子のところに、大怪我した職業泥棒が転がり込み、生活金を保障するだけ。
そこにあるは些細な3人の交流のみです。

それでも少しずつ擬似家族がまとまっていく暖かさと、宮部さんのユーモアのある文章で、読んでいるうちに自然と笑えます。

穏やかな、笑えるミステリが読みたい人には大いにお勧めする作品です。

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