見出し画像

リモートワークのおかげで、本当にやりたいことが見つかった話

今回は僕が2014年9月に大企業サラリーマンを辞め、(当時はフリーランスとして)自分でビジネスを始めた時の話をします。

日本の組織のワークスタイル変革(いまは「組織開発」で包含していますが)を推進するぞ! そう思って、僕はグローバル企業の勤め人を辞め、飛び出しました。

理由はいろいろありますが、なんていうか大企業の大きすぎる仕事に疲れてしまったのもあります。

グローバルな世界で仕事をするのもイイですが、この機会に自分が住んでいる、それこそ半径5m以内の世界で価値を出す仕事もしてみたい。

「地域ではたらきたい!」
「地域活性をしたい!」

そう思い、大企業向けのワークスタイル変革や組織開発の支援をしつつも、自宅(当時は23区内に常駐)で仕事することが多くなったのもあり、地域活性のプロジェクトも始めてみました。

具体的には地域の商店街のブランディング。
SNSを活用して地域の仲間を募り(全員普段はビジネスパーソンとして活躍している人たち)、プロジェクトメンバーとともにこんな動画も作成しました。

この取り組み自体は、個人的にも大変勉強になり、当時の仲間には感謝しかありません
(商店会や商店街の店主の皆さんと会話したり、撮影許可をとるために所管の警察署を駆け回ったり、大企業勤めを続けていただけでは得られない経験をしました)

一方で、「これが自分が本当にやりたいことなのか?」「自分が求めている地域活性ってこういうことなんだっけ?」とモヤモヤした気持ちが芽生え始めました。

きっかけは、ある商店会長の一言です。

「うちの商店街は飲み食いしかウリがないんだよね」

この一言に対し、本当にそうなのか? そもそも飲み食いはどの商店街でも推そうとしているし、それこそ差別化にならないのでは?

さらには、僕がやりたいのは飲み食いお祭りで地域を盛り上げることなんだっけ?
それって、自分でなくても出来る(むしろ、得意な人はほかにたくさんいる)ことだし、自分が関わる意味も価値もない。

「何かが違う」

そんな違和感を持ってしまったのです。
なおかつ、地域メインで活動しているとマルチのような怪しげなビジネスを持ちかけてくる人もいます。そういうのも煩わしくなって、徐々に地域活性の熱が冷めていきました。

そうこうしているうちに、企業や自治体向けの仕事(本業である組織開発やワークスタイル変革などの仕事)が忙しくなり、全国出張する日々が続きました(当時はCOVID-19蔓延前でしたから。いまは浜松からリモート対応メインです)。

なかでも磐田市、浜松市を中心に静岡県西部地域の企業の仕事が増え、やがて県境を越え豊橋市をはじめとする愛知県の仕事も増えてきました。
人との出会いを通じ、2019年には浜松市のベンチャー企業(NOKIOO)の顧問にもなりました。

こうして、静岡県西部と愛知エリアに第二の故郷のような愛着を持ち始めるようになりました。

そしてCOVID-19の蔓延。
自由な都市間移動も憚られる中、これまた人との出会いを通じて、僕は静岡県浜松市の企業として創業(法人化)することに(あまねキャリア株式会社)。活動拠点も浜松に移し現在に至ります。

既にテレワーク・リモートワークが世に定着し、僕も地方都市・浜松にいながらにして東京の大企業向けの仕事はリモートで対応できるようになりました。

そんな中、「ワーケーション」なる考え方が日本においても浸透し始めました。思えば、ワーケーションは僕はサラリーマン時代(2009年くらい)からテレワークの延長線上でたびたび実施していましたし、大好きなダムのそばで仕事をする #ダム際ワーキング COVID-19が蔓延する何年も前から個人的に取り組んでいました

COVID-19騒動により、僕たち(当社)の仕事の仕方も、顧問先の仕事の仕方もテレワークベース、オンラインベースに移行していたため、僕自身それまで以上にワーケーションや #ダム際ワーキング をあたりまえのように活用して成果を出していました。
どこでも仕事できるスタイルになり、テレワークの延長線上でダムや地方の中山間地でも仕事できるようになったのです。

そこから、僕は新たな地域活性のスタイルに目覚めました

#ダム際ワーキング やワーケーションに関心を持ってくれたメディア、自治体、地域活性をしたい思いを持つ人たち(静岡県川根本町、森町、佐久間町、三島市、その他県外の人たちも)、国土交通省の役職者、組織開発や人材開発のインフルエンサーなどが僕たちに声をかけてくれるようになったのです。

#ダム際ワーキング の名のもとに、ダムのある中山間地の施設で都市部の複数の企業、都市部の企業と地域の企業の人たち・地域の高校の先生方や生徒の皆さんとグループディスカッションや越境学習を行う。そんな景色が広がってきました。

いわば知の創生、学習、共創をベースにした地域活性
(観光や飲み食いお祭りは、あくまでおまけ(オプション))

「ああ、これが自分の理想のはたらきかた、理想の地域活性のあり方だったんだ」

僕はそのことに気づきました。

静岡県立浜松湖北高校佐久間分校での #ダム際ワーキング キャリア教育越境学習プログラム

思えば、僕(たち)は組織開発や人材開発など、知の創生や越境学習などを軸に組織変革をする活動をしてきたわけで、知の創生を軸にした取り組みこそが、自分たちらしい、僕たちが関わる意味がある地域活性である。そう実感しています。

知の地域創生をしたい。
その思いはさらに高まり、2023年5月には当社は地域の鉄道会社、天竜浜名湖鉄道さんのスポンサーになり浜名湖佐久米駅に副駅名「本を読もう 沢渡あまね」を設定しました。地域に、地域を訪れる人たちに本を読む文化が広まったら嬉しいです。

リモートワークが普及しなければ、僕はその生き方に出会うことはできなかったでしょう。

別に自分が生まれ育った地域でなくてもいい。
自分が気に入った地域にいながらにして、全国相手に仕事ができる、成果を出すことができる

そうして日頃は(浜松や近隣の中山間地からリモートで)都市部の企業に向けて価値を出ししっかりと稼ぎつつ、1割~2割くらいの時間を地域に向けて、地域活性の仕事や活動をする

それが現時点での僕たちの幸せなはたらき方、生き方かなと思っています。

だから「元の働き方に戻す(リモートワークは原則禁止)」なんてあり得ないし、 出社前提や対面前提の働き方に戻すなんて言わないでほしいのです。

僕は、僕たちは、リモートワークのおかげで理想の生き方、成果の出し方に出会うことができた訳だし、未来に向けて地域を良くしていきたい仲間とともに新しいスタイルの地域活性を実現できているのだから。

新しいワークスタイルやライフスタイルに寄り添ってみよう。 飛び込んでみよう。 そこから、皆さんのほんとうにやりたいことが見えてくるかもしれないよ。