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鉱物備忘録

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今まで集めてきた鉱物についてただ語るだけのエッセイ。
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2020年7月の記事一覧

No.53 ジェダイト

No.53 ジェダイト



拡大すると白っぽい部分があるが、透き通るような澄んだ緑色のジェダイトである。
ジェダイトとは日本で言う「翡翠」もしくは「ジェード」のことである。正確にいうとジェダイトは翡翠輝石と呼ばれる鉱物で、ジェダイトの微細な結晶が塊になったものを翡翠と呼んでいる。ちなみにこのジェダイトの純度が高ければ高いほど透明感が増し、最高品質のものは本の上に置くと下の文字が透けて読めるほどの透明感があるそうだ。このジ

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No.52 エンスタタイト

No.52 エンスタタイト



コーラ色で透け感のある良いエンスタタイトだ。へき開の跡もしっかり確認できる。小粒ではあるが見ごたえは十分な原石である。
エンスタタイトは和名を「頑火輝石」といい、熱に強く昔はカマドの内壁に使われていた鉱物なのだ。私はエンスタタイトという鉱物がお気に入りなのだが、こういうキャラクター性の強さがエンスタタイトの魅力であると思っている。あと、「エンスタタイト」という名前の響きも可愛くて好きだ。
エン

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No.51 ダイオプサイド

No.51 ダイオプサイド



若々しいグリーンのダイオプサイトだ。
光に当てるとグリーンがより映える。若干色むらがあるのも良い。
ところで鉱物の世界にはダイオプサイトとダイオプテーズという名前がそっくりな2つの鉱物があり、色味や硬度など両者はいろいろと似ている。
ある時「じゃあ名前も同じ由来なのか?」と思い調べてみた。すると驚くことに両者の名前の由来は全く別物であることがわかった。
ダイオプテーズ、こちらは和名を翠銅鉱と言

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No.50 アルマンディン・ガーネット

No.50 アルマンディン・ガーネット



ワインのような深い赤のガーネットである。シュワシュワとした泡のようなインクルージョンはあるが、透明感や赤みは申し分ない。
ガーネットといえば1月の誕生石として有名だ。だが、世の中に「ガーネット」と言う名の鉱物は存在しない。
じゃあガーネットって何?というと、ガーネットとは同じ結晶構造をもつ鉱物すべてを指す言葉だ。具体的にいうと、ガーネットには決められた化学組成の型があり、これに当てはまる鉱物で

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No.49 ユークレース

No.49 ユークレース



南極の氷をそのまま石にしたかのようなユークレースだ。
透明感が強く青い色もきりっとアクセントに入っていてクールな印象を強めている。爽快感を感じる美しき原石だ。
もともと、私はこのユークレースを買う予定はなかったのだ。つまりこれは想定外の出費である。
ことの発端は2019年の夏。私が行きつけにしている店の一つ、群馬にある鉱物店の店主が病に倒れてしまったという情報が舞い込んできた。幸い一週間程度で

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No.48 フォスフォフィライト

No.48 フォスフォフィライト



フォスフォフィライトといえば、市川春子氏の漫画「宝石の国」の主人公として有名だ。私は1巻の時点で「重い」と感じて読むのをやめてしまったのだが、とても人気が高い作品で多くの方から支持されている。
また近年ではこの漫画がきっかけで鉱物に興味を持ったという方も多いようだ。実際私も漫画にはハマらなかったが、1巻を読んで「フォスフォフィライトってなんだ?」と検索したことにより鉱物の魅力にズルズルとハマっ

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