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鉱物備忘録

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今まで集めてきた鉱物についてただ語るだけのエッセイ。
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2020年5月の記事一覧

No.41 シトリン

No.41 シトリン



天然のシトリンである。一見スモーキークオーツのようにも見えるが、スモーキーより茶色みが少なく黄色みが強いのでシトリンであると言える。現在流通しているシトリンのほとんどがアメジストを加熱し色を変えた加工品で、天然のシトリンは何気に珍しい。この個体は結晶の先が無色になっているので、個人的にはバイカラーだと思っている。
色は薄めでクラックが無数に入っているが、このクラックから時折分散光を味わうことが

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No.40 セルサイト

No.40 セルサイト



黄色っぽい乳白色のセルサイトだ。透明度は少々悪いが中に光を当てるとランプのようにぼんやりと明るい光があふれる。
大きさは500円玉より小さいぐらい。しかし持ってみると意外と重みがある。実はセルサイトの比重は6.5とかなり高く、クオーツのおよそ2.5倍もある。セルサイトは物質的に重い鉛を含んでいるため、見た目よりもずっしりとした重さがあるのだ。
しかしその重さに反して硬度は低く劈開も強いため傷つ

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No.39 アポフィライト

No.39 アポフィライト



アポフィライトは無色のものが多いが、このようなグリーンの物も結構出回っていて、人気の高い品となっている。
今回の標本はミントキャンディーのようなグリーンで、爽やかで淡い色合いは見ていてとても心地よい。加えて透明感が強く、時々アポフィライト特有のギラリとした光沢を味わうことができる。
漫画が好きな方の中には「あれ?」と思う方もいるかもしれない。
そう、市川春子氏の漫画「宝石の国」の主人公として登

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No.38 クリソベリル

No.38 クリソベリル



輝きは百点満点。色味も明るいイエローでフレッシュだ。しかし、中央にはくっきりと大きく目立つインクルージョンがある。明らかな欠陥があり商品にはできないルースだ。
これはもともと別のクリソベリルを購入した際におまけとしてくっついてきたルースで、これ自体に価値はつけられていない。だが、このクリソベリルに一つ思うところがある。
これ、もしかしたらキャッツアイになってたんじゃね?
キャッツアイとは石の中

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No.37 エメラルド

No.37 エメラルド

中古で買ったエメラルドのルース。
ソーティング付きで色も透明感も申し分ない。ヒビや傷、インクルージョンは多めだが、それもまた味である。
ちなみにこのエメラルドにはソーティングにて「含浸処理あり」とのコメントがある。恐らくオイル処理がされているのだろう。
エメラルドは中にクラックが入りやすい。そのため椿油や重油をしみこませてクラックを目立たなくさせる処理、俗にいう「オイル処理」をしてあることが多い。

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No.36 ゾイサイト

No.36 ゾイサイト



カーキとイエローのグラデーションが趣のあるゾイサイトである。色は地味だが透明感もあり輝きもある。目立ちはしないが奥深い原石だ。
この標本についていたタグには「加熱前のタンザナイト」「加熱するとタンザナイトになる」と言った説明が書いてあった。実際そうなのだろう。
だが未処理の状態でもこれだけ魅力的なのだ。それをわざわざ青くしてしまおうというのは少々無粋な気がするのは私だけだろうか?
もしかしたら

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No.35 ショール&アルバイト

No.35 ショール&アルバイト



ショールとアルバイト、二つの鉱物がセットになった共生標本である。黒いのがショール、白いのがアルバイトだ。
まずショールについて解説しよう。ショールとは和名を「鉄電気石」と言い、トルマリンの一種である。よくパワーグッズに使用される「トルマリン」はこれであり、トルマリングループの鉱物の中では一番産出量が多い。
ご覧の通り真っ黒なため宝石として加工することはほとんどないのだが、今回のショールには細か

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No.34 トパーズ

No.34 トパーズ



温かみのあるインペリアルトパーズである。光の当て方によっては強く輝きくっきりとした印象がある。
このルース、実は中古品である。
どういうことかと言うと元々別のアクセサリーに使われていたものが誰かの手によって売られ、その際ルースを地金から外し「中古ルース」として売られていたところを私が購入したというわけだ。
とはいえ質は申し分ない。少々傷はあるが致命的な欠陥はない。おまけに取引先の管理もしっかり

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