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No.38 クリソベリル

38.クリソベリル

輝きは百点満点。色味も明るいイエローでフレッシュだ。しかし、中央にはくっきりと大きく目立つインクルージョンがある。明らかな欠陥があり商品にはできないルースだ。
これはもともと別のクリソベリルを購入した際におまけとしてくっついてきたルースで、これ自体に価値はつけられていない。だが、このクリソベリルに一つ思うところがある。
これ、もしかしたらキャッツアイになってたんじゃね?
キャッツアイとは石の中にギラリとした光の帯ができる現象で、クリソベリルは比較的この現象が起こりやすい。キャッツアイの原因は「チューブインクルージョン」と言う細い糸状のインクルージョンで、これが光を反射することによって帯状の光が生まれるのだ。
で、今回のインクルージョンもシャッとした細かい糸状のインクルージョンが集まり綿のような状態になっている。恐らくこれはチューブインクルージョンだろう。そう考えるとこのルースはキャッツアイになりかけの所を切り取られた惜しい産物だと言える。
そうであれば急に面白く感じ、逆に愛着がわいてくる。
もしかしたら世間的には粗悪品でも、今回のようになかなか粋な一品がまだまだたくさんあるのかもしれない。そのようなルースも格安にするなりおまけにするなりしてぜひとも活用してほしいものである。少なくとも私には需要がある。

【参考書籍】

「価値がわかる宝石図鑑」
諏訪恭一 著
ナツメ社  2016年


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