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移住する。じゃあ、仕事はどうする?【移住、そのとき。-4-】

移住って、面倒なことだらけです。

なかでも面倒くささランキングで安定して上位にランクインするのが、どこに移住するか、と双璧をなす”仕事をどうするか”。

私の場合は、移住するから、ではなく、実は移住前からこの課題をどうするか考えることが必要でした。

そのとき何を考え、どう物事が進んだのか、整理してまとめたいと思います。

移住の準備を進めるには「サラリーマンしている場合じゃない」

みなさん、サラリーマンといえば、何を思い浮かべますか?

ええ、そうです。毎日満員電車に揺られて、朝から晩まで会社で仕事。正解。

ご多分に漏れず、私もそんな、いちサラリーマンに過ぎませんでした。サラリーマンなんて嫌だ、合わない、やりたくないと思いながら10年以上…。よくやったもんだ。

で、ふと考えたわけです。「南の島に移住したい」と。

どうせ移住するなら、移住したいと思いながらズルズルと時間を過ごしたくはない。できるだけ短期決戦で移住先を決めて移住を完了したい。

一方で、南の島に遊びに行くのではなく、移住するために色々なことを調べるためには、土日の休みで(祝日や有給休暇を絡めても)2、3日滞在するだけでは心許ない。1週間くらいは滞在していろいろ調べたい。

でも移住先がいつ決められるかなんて分からない。毎月1週間程度現地に行くことが、何回必要になるか、いつまでやることになるか見えない。

…とか、色々考えていくと、気づくわけです。

「あ、サラリーマンしてる場合じゃないな、これ」

「社長、会社辞めます」そのとき。

サラリーマンはもう続けられない。なら、善は急げだ。というわけで、社長にその旨を話すことになったのです。

「社長、会社辞めます」

…まあ、いい年した大人同士の会話なので、もちろんそれしか伝えなかったわけじゃないです。

現実にはちゃんと移住しようと思い立った理由やら、そのために準備に入ろうと思っていることやら、そうすると会社員を続けることは難しい、なので退職させてほしいというあたりの一連の話をちゃんと論理的にしているわけですけど。

そうすると、意外な答えが。

「そういう人を応援できる会社でありたいという思いもあるので、何かいい形ができないか考えてみるから、ちょっと時間が欲しい」

「働き続けながら移住するのは、どう?」

いま考えれば、社長のスタンス、会社がスタートアップ期で比較的柔軟に対応しやすい、社内メンバーが応援してくれる、などなど、本当に人と運に恵まれているとしか言いようがないのですが。

2ヶ月くらいに渡り社長とあーでもないこーでもないと言いながら、どうしたらいいものか相談しつつ、社長は社内で各所を調整しつつ、結果的には「時短リモート社員として働き続けながら移住する」という形を取ることになりました。

その時点ではクライアントワークが主だったので、それを(東京にいる間に)数ヶ月かけて他のメンバーに引き継いでもらい、社内ワーク中心の業務に移行。

それと同時に徐々にリモート勤務の割合を増やすことで、他のメンバーが私がいない状態に慣れていくようにソフトランディングしていく。

そして、3週間フルに仕事→1週間現地調査のサイクルで移住の準備を進める。

というわけで、「サラリーマンを続けながら移住する」というまったく予想外の展開が訪れたのでした。

「恵まれている」とも「特別だ」とも言いたくない。

移住して1年少しが過ぎました。

最初はどうなることかと不安もありましたが、お互い慣れてくると問題なく、スムーズに進められています。

時にはインターンと一緒に仕事したり、この春からは1つのチームをリードするポジションとなったりもしていますが、周囲の協力のおかげで、一定の成果を出すこともできています。

周りの人や会社に恵まれたからこそ、「働き続けながら移住する」ということができたし、「移住した後も仕事で成果を出す」こともできています。

それを分かったうえで、あえて、これを「恵まれたから」「特別だ」とは言いたくないんです。厳密に言うと、言わなくてもいい社会になって欲しいんです。

「あの会社は、あの社長は特別だからそんなことができた」
「あの人は恵まれているから働き続けながら移住できた」

みたいに思われるのは面白くない。だいたい、そう思っていたら、本当はできることもできないでしょう。そうして、できないことができないままになるだけなんじゃないでしょうか。

ここ20~30年、PCとインターネットの発達によって、仕事の進め方は大きく変わりました。

テクノロジーが進歩したのに、仕事の進め方は変わっているのに、なぜ働く場所の制限は変わらないのでしょう。満員電車に揺られて、疲れ果てるのに「会社」という場所に向かうべき理由って、どれくらいあるのでしょう…?

だからこそ、「働く場所を自由に選べる」こと、「自分が暮らしたい場所で暮らしながら働く」こと。

そのことがもっと当たり前になって、「恵まれている」わけでも「特別」なわけでもなく、同じような人がたくさん生まれて欲しい。そして、そのための環境を整える会社がもっと増えて欲しいと思っています。

確かに平成においては、私が経験したことが「恵まれた人の特別な話」であったかもしれません。

でも、令和においては、「いまではあたりまえだけど、ちょっとフライングしていた人の話」くらいになってほしい。

私の話を聞いて驚くのではなく、「あー、いま流行りのやつですね」って言ってほしい。

恵まれていなくても、特別じゃなくても。暮らしたい場所で、働ける世の中になってほしい。

だって、きっと。そういう未来の方が素敵だから。

この度は私のnoteをご覧いただき、本当にありがとうございます! これからも移住や働き方、南の島ってぶっちゃけどうなの?といった話をのんびりレポートしてまいります。 スキや感想のコメント投稿、サポートなどいただけると、とってもうれしいです。今後ともよろしくお願いします!