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【詩】気持ちだけが住むその場所で

捨てられた私はトラックに乗って大手町まで行って飛び降りた
大手町の角には揺らぎの寂しさがあり
少し触れると真っ直ぐ立つ寂しさであった
切なさと悲しさがまぐわっていて、それを喜びが目を輝かせて見ていた
怒りと虚しさが闘うコロシアムは、意外と、沢山の家族連れの平穏が見ていて、手を振っていた
私だけが物体である
他は気持ちしかない世界だ
私は、私は、
あ、私は気持ちを無くした
気持ちがなくなり、物体だけになった
それを見た喜びが、ぴょこぴょこと跳ねて、私の周りを踊った
なんてことだ
気持ちを失った私は、伸びをした
ラジオ体操をしたくなり、意外と覚えているもんで、最後までやりきった
好きだったあいつとの思い出が、味気ない物となり、それにすら特に何の感情も抱かず、またラジオ体操を、今度は第二をやりたくなった。が、第二は覚えてなかった
この、数多くの気持ちが暮らしている所で、私は腕を伸ばして広げ、回転した
私は体だ
体の私と、自覚する
シャドーボクシングをしてから、息を潜める
疲れにより、息が漏れる
そういった、体としての生き方の、習得が始まった
喜びと怒りと哀しさと楽しさと不安と恋が円になりながら手を繋ぎ、私の周りをまわった
かーごめ かーごーめ
かーごのなーかの とーりーはっ
私は、拳を天に突き上げ、自分の体から新たな体をこの世界に生み出すのだ
うしろのしょうめんだーれっ
私の影は、いつでも物体である私を見てくれていたんだ

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