大人になって気づいたおじいちゃんの優しさ
私の自慢のおじいちゃん、御年90歳
私が赤ちゃんのときから面倒をみてくれている
子供の頃からおじいちゃんの家を訪れたときには、必ずアイスクリームを食べる
アイスクリームを食べながら、おじいちゃんの武勇伝を聞く
私のおじいちゃんは、日本での戦争と、海外での戦争を経験している
その時の貴重な写真を見せてくれたり、当時の経験など鮮明に語ってくれたものだ
私は子どもの頃から耳にタコができるくらい聞いた
それでも何回でも聞きたいと思う
大好きなアイスクリームを食べながら
子どもの私でも、すごく貴重な経験をしている人だとわかった
私が海外で働きたいと思うようになったのも
きっと子供の時に聞かされたおじいちゃんの話のせいだと思う
大人になって訪れる回数が減ってきたが、それでも行くたびに同じ戦争の話ばかりする
結婚が決まって、挨拶に来た外国人の妻にも同じ話をしている
お決まりのアイスクリームを食べながら小さくなった背中を見つめる
空港の税関でお金を全部取られた話、拳銃を向けられた時の話、炭酸の飲み過ぎで胃に穴が空いた話、海外で建てたばかりの学校が爆撃された話
武勇伝を上げればきりがない、死にそうになった経験を楽しそうに妻に話している
聞いている話は子供の頃に聞いたものと変わらない
ただ不思議なことに、妻と話しているおじいちゃんの背中を見て、戦争のことを話しているのにその話に、辛かったこと、苦しかったこと、悲しかったとは1ミリも感じさせない
今、思い返せばおじいちゃんの話を聞いて、子供の時にも怖いと思ったことは一度もなかった
怖く辛い体験を面白く興味深く伝える
そのおじいちゃんの優しさに気づいたのは大人になって随分たってからだった
大人になるまでもなってからも、同じ話を何回も聞いたのに、おじいちゃんの背中を見て初めて感じた、おじいちゃんの優しさ
海外での戦争の話を聞いて、海外に興味を持ったのも多分私くらいだろう
今を生きる人たちには怖い思いや辛い思いをしてほしくない
そんな思いを、私は妻と話すおじいちゃんから初めて感じた
私に海外で働く夢をくれたおじいちゃん
あのおじいちゃんの話を何回も聞かなかったら私は今日本にいるかも知れない。
私には一生かかってもできない経験をした人徳のある人だと思う
孫のためにと子供の頃から冷凍庫の中にアイスクリームがなかったことは一度もない
突然訪れても、いつもアイスクリームが冷凍庫には入っている
さあ、子供を連れておじいちゃんの家にアイスクリームを食べに行こう
今日も新しい気付きがあるかもしれない。
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