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憧れが良薬

世界はこんなにも素晴らしい

いつものようにnoteを彷徨って、目にとまる記事を読み漁っていたら、素敵な現実を伝えてくれる記事に出会った。

新型コロナの影響で外出禁止になったイタリアの街の出来事。

外出禁止で人との交流もままならない状態の中、人々はバルコニーに出て、音楽を奏で歌う。
音楽を奏で、音楽を聴き、一緒に歌い、人の繋がりや困難を共有して越えてゆこうという意志にあふれた異国の出来事が紹介されていたのです。

日本なら、騒音だなんだと通報され、近隣トラブルになることはほぼ間違いなく、下手をしたら音楽を奏でた側はやれ非常識だやれ勘違い野郎だと、罵詈雑言のSNSリンチを食らうかも知れない出来事です。

そういう記事を読むと、同じように誇れる古い歴史と文化を持った、洗練された文化圏に属する先進国の一員だとしていい気になって生きてる僕ら日本人ではありますが、人として大事にしてることの本質というか、根幹がそもそも違うのだなと思わされるのです。
そして日本の民度の低さに絶望したりしてしまうのですね。

日本との違いが憧れの所以

世界を見渡せば、日本のメンタリティやカルチャーとはまったく違う出来事に出会すことがあります。
そして、それらは時に、大きな羨望を伴って僕の前に現れたりします。

思えば、僕が若かりし頃、みんながアメリカやフランスに憧れた時代がありました。
それらはその当時の僕らの日常にあるとても物質的な憧れであり、アメリカやフランスやイギリスの映画や音楽に憧れ、メイドインUSAやメイドインフランスの雑貨や衣料に憧れ、フランスやイタリアやドイツの車に憧れたわけです。
しかし、そういう物質に憧れはしたけれど、どうしても真似のできない性根というか民族の本質というか、思考ロジックというか正義の本能というか、要するに人としての在り方の回路みたいなものは、どうしても真似は出来なかったのですね。
日本人の常識や、良しとすることへのアプローチ回路において、どうしても日本人のダメな部分を要因とした抵抗がかかりショートを起こしている気がしていて。
そしてその違いが大きければ大きいほど、世界のそれらに憧れてしまうのですね。

憧れこそが良薬になる

まだ若かりし頃。
22か23歳頃、無計画に一ヶ月ほど憧れのロスに一人で旅に行ったことがありました。
初期のビートルズの歌詞レベルの拙い英語と、若かったからという言い訳しか思いつかないほどの怖いもの知らずな積極性で過ごした一ヶ月間のロスは、出会うことのすべてが日本のそれらとは違って、これがアメリカ(世界)なのかと感嘆の連続でした。

もちろん今よりも世界を、いや、日本でさえそんなに知らないで過ごしてた若輩者の僕が、勘違いで抱いていた世界観も影響しているだろうし、憧れで思い描いてたその場所に今自分がいるという高揚感が本質を見誤らせていた場合もあるかも知れません。
それでも、その生まれて初めての海外への一人旅は、憧れた世界の憧れたる所以の確証を僕に植え付けるには、十分に刺激的な旅だったのですね。

それでも断わっておきたいのですが、
日本がダメで世界がいい。という気はサラサラないのですよ。

根底にある尊敬と礼節という文化や、リスペクトとストイックという精神文化も、清潔で秩序ある民族性も僕はとても誇りに思うのです。

しかし一方で、
幅寄せや煽り、トイレットペーパーに群がる自分優先の国民的性根、自分の正義にそぐわない者への徹底した冷徹で陰湿な追い込みなどのニュースを見るたびに、日本以外の世界を知らない人たちはこうなるんだな、と思ってしまうのですね。

世界を知らない人たちから見たら「そんなの関係ないでしょ?」と思うかも知れないですが、実は根深い影響があってね。
世界の深淵なんて知らなくていいんです。
世界各国を旅しまくってなくてもいい。
むしろ世界を旅しまくったことを売りにしてる大御所の作家たちはすべからく「俺は世界を知ってるから」然とした嫌味なやつらだし。笑
そんなことよりも、日本の常識とは違う世界があるということを知ってくれればいい。
いやもっと言えば、「素敵だな、日本とは違うんだな」という羨ましく思う世界を知ってくれさえいれば、それらがどんなに恥ずかしい日本なのかを認識出来ると思うのです。
つまり「憧れ」こそが、一番の「良薬」なのではないかと思うのですね。

もちろん、田舎の海外の情報なんて触れたこともないようなおばあちゃんが、そんなロジックとは無関係に素敵な人であることも大いにありますから、世界を知るかどうかが絶対的な効力を発揮するわけではないのですけどね。笑

ただ、冒頭のイタリアのような、日本とは違う素敵な文化に触れて憧れる人がたくさん現れてくれれば、少しは日本のダメな部分の解消に繋がるのかなぁと思った次第です。笑

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