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スポーツの神を祀る、アスリートの聖地。白峯神宮「叶う輪」

◆この記事を書いた人
京都外国語大学国際貢献学部グローバル観光学科1回生 本間紗矢


京都市の主要な南北の通りのひとつで、ホテルや商業ビルなどが数多く立ち並ぶ堀川通と、東西を貫き、京都大学や同志社大学、パン屋さんなど落ち着いた雰囲気の街並みが印象的な今出川。このふたつの大きな通りが交わるあたりに白峯神宮は位置している。
ここ白峯神宮の御祭神は第75代天皇であった崇徳天皇。保元の乱に敗れたのち、讃岐におりになるのだが、その際に詠んだとされる「瀬をはやみ 岩にせかるる 滝川の われてもすゑに 逢はむとぞ思ふ」という歌は百人一首にも登場するのでいちどは耳にしたことがある人も多いだろう。白峯神宮の境内にはこの歌が刻まれた石碑が建てられている。この歌は自然の情景に心情を重ねた一途な恋の歌として知られるが、わたしには恋愛だけに限らず大切な人を思い浮かべ、どこかで繋がっていると思わせてくれる素敵な歌という解釈もできるのはないかと感じた。


また手水舎は平安時代に活躍した清少納言が著した有名な随筆『枕草子』にも登場する名水で、しかもそこで挙げられている9つの名水のうち、現在も明確に残っているのはここ白峯神宮にある飛鳥井だけであるともいわれている。清少納言も楽しんだ飛鳥井の名水で心身をお清めするのも是非してほしい。そして、そんな手水舎の後ろにそびえ立っているのは、神様が宿る樹齢数百年(一説では800年ともいわれる)の大きなオガタマノキ。多くの神社やお寺に植えられているこのオガタマノキだが、樹高が13mで京都最大ともいわれている。

しかし、この神社の特筆すべき特徴はなんといってもスポーツの神様として、プロアマ問わず、日本全国から多くのアスリートが訪れる聖地となっていることだろう。白峯神宮がスポーツの神様として信仰されるようになったのは、Jリーグ発足の1991年頃からのことである。境内にはバルセロナFCをはじめ、日本国内外の有名スポーツチームからの堤灯が奉納されているほか、数多くの有名スポーツ選手のサインやボールなどが飾られている。


先日おこなわれたサッカーのワールドカップの際にも、スペイン戦を前に多くの参拝者が勝利を祈願するために白峯神宮に訪れたという。あらためてスポーツを通してひとつになることの素晴らしさを実感した。

では、なぜ白峯神宮はなぜスポーツの神様として信仰されるようになったのか?その理由は御祭神である崇徳天皇が和歌とともに「蹴鞠」を好んだこと。またこの神社が創建された場所が蹴鞠の宗家であった飛鳥井家の邸跡であることに由来しているという。境内右手にある地主社は飛鳥井家の守護神でもあり、蹴鞠の神様として知られている精大明神が祀られている。

白峯神宮の参拝方法はちょっと変わっていておもしろい。まず本殿だが、通常、参拝時に鳴らす鈴は境内の上部からぶら下げられていて紐を手でもって揺らし、鳴らすことが多いのだが、ここ白峯神宮では本殿の前、賽銭箱の左右にそれぞれ大きくて重い鈴と小さくて軽い鈴が置かれていて、それを自分で持ち上げて鳴らすようになっているのだ。


また蹴鞠の神様である精大明神の祀られている地主社の参拝については、通常の「二拝二拍手一拝」の手順で参拝したあと、そばにある蹴鞠碑の台の上に乗り、球技に関するお願い事をひとつお願いしたら1回石を回すのが作法。球技に縁のある方は、ぜひこの蹴鞠を回し、お願い事をしてみてほしい。



いよいよ参拝を終えたら、ぜひ求めてほしいのが今回ご紹介するお守り「叶う輪」。このお守りは木製のボールに紐が通してあり、ミサンガのようなかたちをしたものだ。サッカー、野球、バスケットボール、テニス、バレー、卓球、バドミントンの7種類があり、それぞれに四色のカラーが用意されているので、自分の好きな色はもちろんチームカラーに合わせて選ぶこともできる。上記7種以外のスポーツをしている人には「五色版叶う輪」がおすすめだ。


ただし、ミサンガのような形状をしているとはいえ、叶う輪はあくまでお守り。神様の御霊をいただいたものであり、ちぎれてしまうと縁起が良くないため、できるかぎりカバンなど安全なところにつけるよう心がけておきたいところではある。


白峯神宮のご利益はスポーツだけでなく、崇徳天皇が文学を愛し、和歌を好まれていたこと、さらに蹴鞠はボールを落とさない(落ちない)競技であることから、学業においても縁起が良いといわれている。まさに学生が参拝するにはピッタリの神社ではないだろうか。スポーツにゆかりのある方もそうでない方も、白峯神宮でお参りし、叶う輪を身に着けておけば、崇徳天皇が詠んだ歌のように、人とのつながりをつねに感じることにつながるのではないだろうか。

なお毎年4月14日と7月7日は蹴鞠保存会による蹴鞠の奉納が行われる。体験もできるので、ぜひそちらにも足を運んでみてほしい。

◆白峯神宮 公式サイト


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