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髪を美しく保ってくれる“髪様”がいる。 御髪神社 「福髪守・御櫛守」

◆この記事を書いた人
京都外国語大学国際貢献学部グローバル観光学科1回生 島岡未侑


 嵐山は京都を代表する観光地のひとつ。渡月橋周辺はもちろん、竹林の小径にも毎日多くの観光客で賑わっている。御髪神社は、その喧騒からすこし離れたところ、竹林の小径からも少し脇に逸れた厳かな雰囲気の場所にひっそりと佇んでいる。日本で唯一の「髪の神社」として、理容・美容関係者も多く参拝されている御髪神社。とても小さな神社であるにもかかわらず、テレビや雑誌などで薄毛の有名タレントなどが訪れては紹介されたこともあって、髪を美しく保ちたい方、赤ちゃんの髪の毛がたくさん生えるよう願う方、薄毛に悩む方など、老若男女問わず多くの参拝者が全国から訪れるようになった。

創建は1961(昭和36年)と新しい神社ではあるが、由来には興味深い逸話と歴史がある。御髪神社が百人一首でも詠まれている京都嵯峨野の小倉山の麓、亀山天皇の御陵の近くに建立されたのは、御祭神である藤原采女亮政之(うねめのすけまさゆき)と亀山天皇に深い関りがあったから。1259~1274年の亀山天皇の御代に藤原鎌足の末孫で皇居の守護であった北小路左衛尉・藤原基春は、文永年間に下関へと移り、紛失した宝刀『九王丸』の探索にあたった。そのあいだ基春の三男であった采女亮政之は生計を立てるために、その地で女性の髪を結って父を助けていたのだが、これが日本の髪結い職の始まりだとされている。その後、政之は鎌倉に移り、1335年7月17日にこの世を去るのだが、立派な処世と功績を称えて日本の神階の位のひとつである従五位を天皇から受け賜るのだった。この政之の命日である17日は敬髪と始祖のご冥福を祈るため、ひところまでは全国の理容・美容業者の定休日となっていたのだとか。

髪とゆかりある御髪神社のお守りでおすすめなのは、なんといっても「福髪守」と「御櫛守」である。

「福髪守(ふくのかみまもり)」は透明なお守り袋のなかに小さな櫛とはさみが入っている、とてもかわいいお守り。わたしが子どものころ、お守りの中身が気になっていたこともあって、中身が見えるお守りというだけで、ちょっとわくわくしてしまう。色はピンクと青と白の3種類から選べる。

もうひとつ、「御櫛守(おぐしまもり)」はお守りそのものが櫛のかたちをしている、とにかくかわいいお守り。赤と緑の2種類があります。このお守りも少し透けているのがかわいいし、お守りっぽくないデザインなのでキーホルダーのように気軽に身につけられるのもうれしい。

そして御髪神社に来たらぜったいに試してほしいことがある。それがここにしかない特殊な参拝方法である「献髪」だ。早速わたしも実際に体験してみることに。

1.社務所で髪を5㎝ほど切ってもらう
2.切った髪を専用の袋に入れる
3.社殿にお参り(二拝二拍手一拝)
4.社主さんに祠の隣にある髪塚に奉納してもらう


髪塚にはこれまでにも多くの髪の毛が奉納されてきたそうだが、髪塚がいっぱいになるにはあと何百年もの時間がかかるのだとか。なんとなくわたしも長い歴史の一部になったような気がした。
もちろん京都のほかの神社に比べれば、まだまだ歴史の浅い神社ではあるが、小倉山の神秘的な雰囲気を醸し出しているパワースポットでもあるほか、ユニークな参拝方法など魅力がいっぱいの御髪神社。薄毛の有名タレントのおもしろいコメントが書かれた絵馬も奉納されている。ぜひ実際に足を運んでみてほしい。


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