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KYOTO 10000歩ダイアリー 第一歩「チャイナコーデと、夏の魚と、有名人の死」

こんにちは。京都外国語大学3回生の河原のどかです。もう大学生活の折り返し地点にたち、最近の趣味は散歩。1日10000歩以上歩くのが目標。大学とアパートの往復だけだと、3000歩くらいで終わってしまう日も多々あるけれども。
プラス、エッセイを読むことが多くなり、のびのびと文章に書かれていることが羨ましくて、散歩しながら考えていることを書き起こせたらと思ったのが、始まり。
時間潰しにでも読んでもらえたらうれしいです。では一歩目のお話を。

6:37家を出た。
気温は19度。予報通りのグレーの空。こりゃ1日中曇りかな。

バイトの日以外、こんな朝早くに家を出ることはそうそうない。ただ、目が覚めてしまったのだ。朝が弱い私は大学から家が近いことをいいことにチャイムがなる20分前に起きることも多々ある。

目が覚めてしまった理由は1つ、フローリングで寝てしまっていたからだ。シャワーも浴びずに。日付が変わる頃まで課題のパワポを作成している途中で力が尽き、横になってしまったようだ。
お風呂に入って、清潔な体でベッドインすることを徹底して、育ててくれた母が知ると、きっと軽蔑の目で見てくるだろう。
うん、以後気をつけよう。


今日はお気に入りのチャイナボタンのトップスを選んだ。靴はセカストで900円でゲットしたカンフーシューズ。たまに脱げそうになるけど、こちらもお気に入り。

靴下の方が派手や


そうそう、朝からどこへ向かっているかって?
用事があって、京都駅に向かっています。 
いつもならバスを使うことが多いが、こんなに朝早く起きれたのだ。歩いて行ってみようと健康志向さんが励ます。あわよくば朝ごはんも食べたいなと食いしん坊が囁いてる。「御意」とさっとシャワーを浴び、いつもよりアイライン長め、前髪も丁寧に巻く。

家を出て線路沿いを歩いていると小さな朝顔らしき花を見つけた。もうそんな季節なのかと感じる。

お隣にも違うお花が


そこからさらに数メートル歩いた高架下トンネルで家なき人が寝ているのを見た。50代くらいに見える彼の近くにはからになったカップ麺とバナナの皮。コンクリートの上で寝たことはないが、フローリングよりも硬く冷たく、体がバキバキになるだろう。失礼極まりないがなんだか見てはいけないものを見てしまったような気分になってしまった。しかし、こういう生活をしている方がいるのも現実。なぜ彼がこの生活を強いられているのか、考えたくなった。私は彼らに何ができるのだろう。いや、呑気に歩いてる私も家がなくなることは容易にありうる。
ただ、その時を待つのではなく、今の生活に感謝し、人のためになることをしたいと感じた。
鼻でいっぱい息を吸い、トンネル内の匂いを嗅ぐ。


さらに歩を進める。平日の朝のため、街にはスーツ姿、オフィススタイルの方が多い。バス停まで走る人、タクシーを捕まえる人、走る人。
みんなどこまで行くんだろう。どんなお仕事するんだろう。

走る人


寂れたアーケード街のお魚屋さんの前を通る。ちょうど市場から海産物が届いたようで、白い発泡スチロールに入った長い銀色を目にする。あれはハモや。もうそんな季節なのかと感じる。

ふと光を感じる。あら、太陽がうっすら照らしてくれてる。イヤホンをしながら聴いていたくるりの「ブレーメン Bremen」のサウンドも相まってもやもやした心も晴れていく。冒頭で「今日は一日曇りかな?」と書いていたが、残念ながら私の予報は外れたみたいだ。うれしい誤算だ。

水やり後の紫陽花を見つけた。まるで梅雨が始まったみたいにキラキラしている。もうそんな季節なのか、いや、梅雨だけはもう少し待ってくれ。

キラキラする紫陽花


ようやく京都タワーが見え始める。スーツケースを引きながら進むインバウンドに紛れてパシャリ。

京都タワーを見つけるとちょっと嬉しくなる



気づけば8時過ぎ。電車に乗るまで時間があるので、お待ちかね、モーニングへ。かねてから目をつけていたヨドバシカメラ横の喫茶みわくさんへ。


店内に入るとほぼ満席。ご近所のマダムや、スーツ姿のサラリーマン。私のような女子大生。旅行中の女性など多種多様。
私は半円型のカウンターのような1人用席に案内される。大画面のテレビには、ニュース番組が流れており、大御所俳優の訃報が報道されていた。威厳のある姿から怖い印象があったが、亡くなる前の姿は少し痩せ、穏やかな笑顔でメディアに出ていたようだ。終活を進めていたらしく、地元の市町村に自作の絵画やコレクションを寄贈したという。

世の中にはいろいろな人がいるのだなと感じる。富と名声を経て没する日のために少しずつ準備していた人。毎日の暮らしを懸命に生き、街の中に埋もれていく人。私はどんな一生を遂げたいかとぐるぐる考えていたところ、モーニングセットが到着した。


レモンの輪切りが入った紅茶は、歩きながら火照った体を視覚から冷ましてくれる。梶井基次郎の『檸檬』で綴られた檸檬のインパクトを追体験した感覚だった。思わず一口飲む。


そしてプレートの方はふかふかの黄金色したトーストにゆで卵、サラダ、ヨーグルトが載っており、いつのまにか空腹だった食いしん坊がエンジンをかける。

健康志向の私がサラダをまず手に取る。喫茶店のサラダって薄オレンジ色のドレッシングがかかってる。普段サラダには何もかけないが、たまには野菜の味がわからなくなるくらいかかっているのもいい。
次にふかふかのパンにかぶりつく。バターがじわっと口に広がって幸福メーターの矢印が勢いよく振りきる。悪魔的に美味しい。
そういえばゆで卵と、殻を剥く。先日、ラーメン屋でアルバイトをしている友人のもとへ行くと、煮卵のためのゆで卵をスプーンを使って剥いてみた。ちょうどスプーンがあったので、発掘家の気分で卵形に沿わせて剥いてみる。なんと、かなりきれいに剥がれるではないか。快感だ。全部剥き終えたら一口ガブッ。久しぶりに食べたが素朴な美味しさである。
味わいながらパクパク食べていくとあっという間になくなった。
全て平らげた満腹感と、お散歩しモーニングにこれたことの満足感、そしてふと生き方を考え、やり遂げた感が強い。

まだ時間は9時前。1日は長い。エネルギーは満タン、今日も頑張ろうと店を出る。

これを機に朝散歩を頑張ってみよう。今度は相棒のミラーレスと一緒に。そしてまたここでその散歩のことをみんなにシェアしたいと思っている。お楽しみに!

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