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ついに見つかった空き家歴7年の古民家。「お待たせ、ぼくの家。」

【広瀬 耕さんの場合-第2話】

前回は、萩市在住の広瀬 耕さんが人生の軸足を置く拠点として、古民家を探すと決めたところまでをお話しした。

今回はその続きで、実際に住むことになる古民家を見つけ、購入するまでをお伝えする。

運命の家は、意外なほど近くで新しい主との出会いを待っていた。

広瀬さんが萩の広大な市域から様々な物件を当たる中、ついに「コレだ!」と思う物件に出会ったのは「三見(さんみ)」エリア。萩市街地から車をほんの10分ほど走らせた所にある、漁業と農業のちいさな町だ。

Q.どんな風に使われていたお宅だったんですか?

(広瀬さん)とくにお店とかではなく、普通の住宅として使用されていたようです。建築時期は資料に「S1(昭和1年)」とあったのですが、それ以上は遡れないから「S1」となっていることも多いので、恐らくもっと前だと思います。
家財を整理していたら大正時代の新聞が出てきたので、大正時代にあったのは間違いないんじゃないかと…。

元々は売主さんの親御さんのご実家ということで大切なお家ではあったのですが、県外にお住まいなので空き家になって7年が経過していて、草刈りなどの管理が大変ということでした。

Q.この家を見た時のファーストインパクトは?

(広瀬さん)まず、「壊れてないな(ヨシッ!✨)」と。
それまでは瓦が落ちていたり、歪んだりした家も数多く見てきたので、外観を見て最初に感じたのは、「きちんとしているな」というイメージでした。

さらに家の裏にまわると井戸があって、庭もあって、高感度がグッと上がりましたね。中に入ると薪風呂があって、家財も付いていて、得をした※気がしました。

※広瀬さんが「得をした」と言っている薪風呂は、薪などを燃やして沸かす昔ながらの方式。これを面倒だな〜と捉えるか、面白い&楽しそう!!と捉えられるか…それは受け手の感性次第だ。
使われなくなった家財も然り。これを“財産“と捉えるか、“ごみ”と捉えるのか。実際、古民家購入の後の最初の大仕事は家財の処理から始まることも多い。
このように場合によってははネガティブにもなり得る事情を「得」と捉えて活用できるのは、まさに広瀬さんの「徳」が為せる技といえる。
古民家を買うには「古いスタイルを楽しむ」という心持ちも大切なのだ。

🏠

Q.購入の決め手になったのは何ですか?

(広瀬さん)家そのものだけでなく、「場所」に強く惹かれたことですね。
生活に便利な市街地からこの距離で、こんなにいいところがあったんだと。 
それで家を見た後、近くに何があるかなと周囲を散策してみたんです。
すると家の前の通りが『眼鏡橋』という素敵な場所につながっていました。

家から歩いていける距離にカッコイイ眼鏡橋(大正3年築)があったこともプラス✨

それに車で5分のところに日本海に沈む夕日が見える海もあって、いいところだなぁと。
さらに家の隣の隣には、移住者が始めた萩焼の窯元があることも知りました。先に移住して何かやっている人がいるというのは本当に心強いです。

まず家が気に入って、眼鏡橋を見て「はい、プラス」、海を見て「プラス」萩焼の窯元があるから「プラス」で、むしろぼくにとってここにしない理由がなかったんですね。

🤔なるほど、プラスがどんどん積み重なっていく・・・✨
とても素敵な考え方だ。しかし、まだ若い広瀬さんの思い切った行動に
親御さんは心配しなかったのだろうか。

💠✨

Q.古民家購入にあたり、ご家族はどんな反応でしたか?

(広瀬さん)母は最初「やめとき」と。心配して「そんな急いで決めんでもいいじゃない」と言われました。

だけどぼくは掃除すれば綺麗になるイメージが湧いていたので、
もし予算内に収まればぜひ欲しいと思っていて…。

家主さんと交渉したら予算に収めることができたので、購入して綺麗にしたら親も納得できたみたいで「それ見たことか!」と。(笑)

「掃除前」の庭…。これを見たら親御さんの心配も分からないではない。
「掃除後」の庭。これを前もって想像できるとは広瀬さん、やはりDIYの才能がある・・・?


Q.綺麗にした時のイメージが湧いていたとのことですが、

 もともとDIYなどは得意だったんですか?

(広瀬さん)いえ、全然やったことなかったです。

同じ地域おこし協力隊の隊員で古民家を買ったメンバーがいて、行く度にDIYで家が変化していく様子を見ていたので、自分でもやってみようかなと。あと、ぼくは元がケチだから、自分で出来るものに対してお金を払いたくないという思いもあって(笑)。

だから、まずは家が手に入っただけでハッピーで、「空き家」から「ぼくの家」に仕上げていく過程で愛着が湧いたら、それでいいと思いました。

(第3話へつづく ※だいたい日曜日に更新)