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【ショートストーリー】橋の上に3年

素敵な橋といえばパリのポン・ヌフ、
フィレンツェのポンテ・ヴェッキオ、
アビニョンのポン・サン・ベネゼなどがある。

橋って対岸とこちら側をつなぐから
ロマンがあるのかな。
向こうに行ったら
全く違う世界が広がっているかもしれないしね。
私はその間に立っているのが好き。
橋の上なら何時間でもいられる。

高校生の頃から橋の上で、
手すりにもたれかかって缶コーヒーを飲みながら、
物思いに耽っていた。

パリの橋、ポン・ヌフには座るところがある。
パリに留学していた3年間、
よくあそこに座って本を読んでいた。
夏には何時間もそこにいて、
時々顔を上げては
流れるセーヌ川を眺めたり、
渡る人々を目で追ったりもしていた。

橋の上に3年いて思ったのは、
川の流れも人の流れも、
自分だけではつくれないということ。
ベストを尽くしたら、
流れに身を任せるのも大切だということ。

パリの橋、ポンヌフ

フィレンツェのポンテ・ヴェッキオには、
橋の上にお店が連なっている。
それなら橋の上に住むこともできるのではないか、
なんて橋好きの私は嬉しい想像もしたものだ。

フィレンツェのポンテ・ヴェッキオ

アビニョンのポン・サン・ベネゼは、
「アヴィニョンの橋の上で」という歌が
世界的に有名な橋だが、途中で切れている。
崩壊したままになっており、
現在、橋の役目を果たしていない。
途中までしかなくて、
向こう岸に渡れない橋なんて、すごくないか?

アビニョンのポン・サン・ベネゼ

そんな感じで橋について思いを巡らせれば、
とめどなく出てくる。
そんな私はいつか橋の上に家を建て、
住むのが夢だ。
その場合、住所はどうなるのだろう、
なんて楽しい想像は尽きない。

©2023 alice hanasaki

山根あきらさんの企画、#橋 に
参加させていただきました。

※この作品は創作であり、
私生活とは関係ありません。

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