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達成イメージが学生の主体性をつくる〜スクリプト

前回は授業の最初に達成イメージを考えることによって、学生の主体性をつくることができると書きました。しかし、実際に授業で使う際にどのように説明すればいいのでしょうか。

そこで、今回はアクティブラーニング授業で、すぐに使えるスクリプトを書きました。授業で使うときの注意事項も書いてあります。

今日の授業の目的

ここでみなさんに考えてもらいたいことが2つあります。
1つ目は、今日の授業を受ける目的です。


みなさんは、今日ただ90分間、イスに座り続けるために、この教室にいるわけではないですよね。
みなさんは、何かをするとき、必ず目的を持って行動をいるはずです。

例えば「ノドが渇いたから飲み物を飲む」といったとき、渇いたノドを潤すことを目的にして、飲み物を飲んでいるはずです。

みなさんは、目的を持たない行動なんてしていません。
ですから何らかの目的を持って、この場に来ているはずです。

学生たちに、授業の目的を考えてもらおうとしても、いままで意識したことがないのですこし戸惑っています。そこで、私たちは常に「目的を持って行動している」ということを説明し、目的と行動の関係を自覚してもらいます。

こらから1分間、時間を取るので、今日の授業を受ける目的を付せんに書いてもらいます。

ここで、考える時間に制限を設けます。制限時間を設けることによって、集中して考えることができます。

やってみると分かりますが、1分間というと最初「できない」とか「ムリ」といった空気になるのですが、実際に取り組み始めると、シーンとなって集中していることがわかります。

ここではまだ、書く作業には入らないので、語尾を「もらいます」と言うことで予告の状態をつくっています。

その前に一つ注意。「単位を取る」というのは無しです。
単位を取ることは目的ではなくて結果です。
皆さんは単位を取るために、この時間何をすればいいのでしょうか?
この時間に何を知ることができれば、単位が取れるのでしょうか?
そこをよく考えてみてください。

授業を受ける目的を聞くと「単位を取る」と答えるケースがよくあります。そこで、単位を取るといっても、何をすれば単位が取れるのかと、思考のフレームを変えてあげます。

例えば、まだ初めてですから「成績評価のやり方を知る」とか、「友達をつくる」とかでもいいです。
今日の授業の間の目的ですから、気楽に考えてください。
では1分間時間を計ります、ペンと付せんの準備はできましたか。
それでは今日の授業の目的を書きましょう。スタート。

簡単な例を示してください。あまり高度な例を示すと「書けない」「できない」ブロックがかかってしまいます。すぐにできる簡単なことを例にしましょう。

もう一度、時間、準備するもの、行動を具体的に指示します。そして「始め」とか「スタート」とか、始まりの合図をします。

はい、1分間経ちました。ペンを置いてください。
目的は書けましたか。
書けてない人はいませんか。
(手が上がったら)
では、あと10秒待ちます。その間に書いてください。

時間が経ったら、終わりの合図をします。「ペンを置く」という具体的な指示をすると、書くことをやめます。

まだ最初ですから、書けていない学生への配慮もします。延長してもいいのですが、1分かけて考えられなくては何分延長しても書けません。10秒程度の延長という負荷をかけて考えてもらいましょう。

授業が終わった時の自分の姿

では、2つ目の質問です。
2つ目は、この授業が終わった時、みなさんが最高にいい気分で教室から出ていくとします。
その時の、自分の表情や話している言葉、歩き方、仕草などを想像してください。
その状態が想像できたら、1分間で付せんに書いてもらいます。
自分だけが分かればいいので、文章ではなくて、絵でも、イラストでもいいです。例えば、笑顔でいる自分を想像したのであれば、ニコちゃんマークを書いてもいいです。

2つ目の質問は授業が終わった時の状態を想像してもらいます。表情や言葉などについて質問したり、「教室を出て行くときに」と言いながら、教員自身が教室の出口まで歩いてドアノブに手をかけたり、言葉と行動で結果を得た状態が具体的に想像できるようにします。

自分の未来の状態についてイメージするための、言葉で書けない場合もありますので、イラストで書くことを許可しておきます。

その前に、いまの質問が分からないという人はいませんか。
では、いまから1分間時間をとります。
授業が終わった時の自分はどんな姿なのか、付せんに書きましょう。
では時間を計ります。スタート。

始めて授業を受ける学生にとって、慣れない質問なので、書く作業にはいる前に、質問の意味を理解しているかどうか確認をします。

もう一度、時間、準備するもの、行動を具体的に指示します。そして「始め」とか「スタート」とか、書き始めの合図をします。

はい、1分間経ちました。ペンを置いてください。
書けてない人はいませんか。
(手が上がったら)
では、あと10秒待ちます。その間に書いてください。

時間が経ったら、終わりの合図をします。「今日の授業の目的」でも説明したように、まだ書けていない学生への配慮をして終わります。

「経営史」第1回目の授業デザイン
 (1)オープニング動画
 (2)席替え・グループ編成
  初回授業でグループ編成をするメリット
  固定机でもグループ学習はできる
  多人数授業でグループ分けをラクラクするには
  スマートな人数調整で、スムースなグループ学習
 (3)Good&News
  グループ学習のアイスブレイクで使えるGood & News
  授業ですぐに使える「Good & News」のやりかた
 (4)今日のマインドセット
 (5)自己紹介
 (6)成績評価について
 (7)学習の進め方
 (8)受講のルール
 (9)マインドセット
 (10)リフレクション

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