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コンパクトシティの演劇空間『博多座』

福岡市の“売り”を表現するのに使われる「コンパクトシティ」。空港から都心部までが5~10分など、交通や商業など都市機能が狭い範囲に集積されている上に、大相撲・プロ野球・プロサッカー・ドームコンサートなどエンタメも充実。それでいて、食料物価の安さは20大都市中で第1位。

そんな福岡市の数少ない弱点だったのが商業演劇。市民会館などでの数日間の公演はあっても、かつては常設の演劇専用施設がなかったのです(正確には、劇団四季の専用常設劇場「福岡シティ劇場」が先行してあったのですが、入場者不足で一度終了)。

そんな中、「公設民営」という形で1999年に誕生したのが「博多座」。月替わりで、歌舞伎・宝塚・ミュージカル・その他演劇・演歌歌手公演などが開催されます。

東京(関東)や大阪(関西)の人口規模ならば、一年中、歌舞伎やミュージカルを上演する常設劇場も可能ですが、福岡(九州)という限られたパイの中では、月替わりという「博多座」のやり方が、ギリギリのラインだったのでしょう。コンパクトシティ福岡らしい戦略。

また、月替わりで演目が変わることは、新たなファンを開拓することにもなります。自分自身、オープンから数年間は毎月観劇することを自分に課し、それまで興味もなかった宝塚などの面白さにも目覚めることになりました。

大地真央さんの「ローマの休日」は素晴らしかったですし、三代目市川猿之助さんの「スーパー歌舞伎」には度肝を抜かれました。北島三郎さんの特別公演での「まつり」の演出に興奮。武田鉄矢さんの舞台では、三原じゅん子参議院議員が、県会議員役で出演していたこともありました。

福岡(九州)の演劇文化にとって「博多座」は宝。あとは常設寄席が欲しいところですが、なかなか厳しいかな。


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