心揺さぶる傑作『問題のあるレストラン』
連ドラ各クールの端境期、民放系無料配信サービス「TVer」では、過去の名作ドラマが大量投入され、ドラマ好きは嬉しい悲鳴と寝不足に悩まされます。
現在配信されているものを抜粋すると、『JIN-仁-』『のだめカンタービレ』『最高の離婚』『わたしたちの教科書』『素直になれなくて』『逃げ恥』などがあり、中でも必見なのが『問題のあるレストラン』(2015年)。
飲食サービス会社に勤めていたたま子は、ある理不尽な出来事をきっかけにセクハラ・パワハラまみれの会社を辞め、問題を抱えた仲間の女性たちと、手作りレストランを立ち上げ、元職場の男性らにリベンジを仕掛けていく。
自らがパワハラをしていると自覚している現役の正社員は少ないと思いますが、何らかの理由で非正規や下請け側の立場に回ったら、力関係(権力構造)の中で、そのパワハラを嫌というほど痛感するでしょう。
同じ事はセクハラにもいえるかも知れません。自分は全くそんなものとは無関係と思っていても、男性優位社会において常に権力側にいる男たちによる、意図的、あるいは無自覚なハラスメント。
第一話では、たま子の高校時代の親友が、仕事の責任を押し付けられ、幹部社員が見ている前で、全裸で謝罪させられる衝撃のシーン。それ自体はドラマ的な誇張があるにせよ、全編に流れる男社会の“気持ち悪さ”は、誰しも思い当たる節があり、男女問わず、グサグサ突き刺さることでしょう。
とはいえ、フェミニズムが前面に出て来る真面目なドラマかというと、そうではなく。「スカッと笑えてホロッと泣ける女性応援コメディー!」と謳われているように、魅力的なキャラクターたちと、坂元裕二さんの巧みな脚本と名言の数々。
人生って、きっと地位や名誉やお金じゃない。人生は、どれだけ心が震えたかで決まると思います。
何で!?女が幸せになれば男の人だって、幸せになれるのに!何で!?
人に奢ってもらってばかりいたら、自分をバカにするか、相手をバカにするかしかしなくなるのよ。
いい話って、時々人を殺すんだよ。美談だったのかもしれないけど、でも、でもさあ、それ誰かに押し付けた途端、美談じゃなくなるんだよ。
ブレイク直前だった若手俳優・女優の宝庫でもありました。主演の真木よう子さんと準主役の東出昌大さんはすでに売れていましたが、高畑充希さん・松岡茉優さん・菅田将暉さんは大ブレイク前夜。今見ても、彼ら彼女らの非凡さがよくわかります。
今年の秋ドラマにガッカリした方という方にもおすすめです。
三谷さん、何してる…(笑)
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