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自国へ帰る

アイノがギリシャから帰国しました。彼女はギリシャでの生活をこよなく愛しています。ギリシャでバカンス中の彼女と連絡を取ると、真っ白な街並み、天国にいるような夕空、誰もいない浜辺、鮮やかな花々、生みたての鶏卵、おいしそうな料理の写真がたくさん送られてきます。

私は暑いのが大の苦手ですが、アイノから送られてくる写真を見ていると、私もギリシャに行ってみたいと思ってしまいます。

ウーシマー新聞に掲載されているアイノのコラムには、"私は、滞在していた孤島を離れる時、アテネ空港から離陸する時、ヴァンター空港に着陸する時の3回、涙を流す"と書いてありました。

彼女の話によると、ボーイフレンドもギリシャの島にいるそうで、思い入れの深い場所なんだと思います。

バカンス帰りのアイノは私を見るなり強くハグしてくれましたが、いつものキラキラした翡翠のような目は、死んでから時間の経った魚のようでした。

コラムの後半では、帰国してからは目の前の世界がグレーがかって見えることや、それでも現実を受け入れなければ…という思いが綴られています。

アイノが自分のペースで、ここフィンランドでの生活にもどれたらいいなぁと私はお土産にもらった石けんの香りを嗅ぎつつ思うのでした。

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